過去4年のJBCクラシックで優勝した馬はすべて、その年の日本テレビ盃で3着以内に入っていた。そのなかで2つとも勝利したのは、昨年の
ケイティブレイブと3年前の
アウォーディー。日本テレビ盃で2着または3着に敗れた馬が、その次の大舞台で栄冠を勝ち取るケースも多い。ちなみに過去10年間の日本テレビ盃で3着以内に入った延べ30頭のうち20頭はその年のJBCクラシックにも出走して、優勝6回、2着6回という成績を残している。
そのなかの1頭が2010年の優勝馬、
フリオーソ。2歳夏に船橋競馬場でデビュー戦を飾り、12月には全日本2歳優駿を制覇。2008年の4歳時に帝王賞を制して頂点に立ち、その秋の初戦に日本テレビ盃を選んだ。しかし結果は2着。雨上がりの馬場を味方にした
ボンネビルレコードの決め手に屈した。そして2年後、2度目の日本テレビ盃に臨んだ。
その年も帝王賞を制してからのエントリー。負担重量が58kgというのは出走メンバーで唯一だったが、それでも単勝1番人気に支持された。スタートすると、逃げる
トランセンドの直後をマーク。そのままの位置取りで最後の直線を迎え、余裕の手応えで先頭に立って押し切った。
祝日開催でたくさんのファンが集まった場内は、地元所属馬の快勝に喝采が上がった。その年はJBCが船橋競馬場での開催。初の地方所属馬によるJBCクラシック制覇に期待は高まったが2着まで。優勝したのは日本テレビ盃で3着だった
スマートファルコンだった。
それ以後の8年はJRA所属馬が2着以内を独占。それでも日本テレビ盃は、上位拮抗の実力馬たちが観客に息をのませる激戦が続いている。
昨年は結果こそ単勝人気の順番どおりになったが、JRA所属の4頭に地元の
ヒガシウィルウィンを加えた5頭が、ラ
イバルたちの様子を見ながら仕掛けどころを探ったその一部始終は、死力を尽くしたという表現がピッタリくる内容。2017年もJRAの4頭の手綱を取った騎手が相手の動きをけん制し合いながら進んだ戦いで、
インサイドワークの奥深さを感じさせてくれた。
おそらく今年も、各騎手が相手の出方を考えながら仕掛けどころを探る、そんな“詰将棋”に似た戦いが見られそう。どんなペースで流れていくことになるのか、それを推理するところからすでに面白い。
(文・浅野靖典)
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