これまで数々の名場面が繰り広げられた競馬の祭典「日本ダービー」。中でも1941年セン
トライト、51年トキノミノルなど、“○○○1年”の開催では印象に残る名馬、ドラマが誕生した。この連載では、1971年から2011年までの5回にスポットを当てる。第4回は01年、人馬の絆で世代ナンバーワンを証明したジャングルポケットについて角田晃一師に当時を振り返ってもらった。
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4戦無敗で皐月賞を制したアグネスタキオンが、2冠達成を目前に屈腱炎を発症して戦線離脱。1番人気は皐月賞でスタート直後につまずき、3着と涙をのんだジャングルポケットだった。
主戦の角田晃一(現・調教師)は本番を前に「一番の状態、ベストの条件」と自らハードルを上げて鼓舞したという。ただ、簡単な道のりではなかった。引いた枠順は大外8枠18番。当日の返し馬では
テンションが高ぶり、イレ込んだ。それでも自身5度目のダービー騎乗となった角田は冷静だった。道中は中団のやや後ろで3番人気の
ダンツフレームをマークしながら追走。4コーナー手前から徐々に進出して直線は外に持ち出すと、堂々と抜け出して世代ナンバーワンを証明した。
同年の
ジャパンCも制して能力の高さを証明し、翌年の有馬記念7着を最後に引退。種牡馬としても
トールポピー(07年阪神JF、08年オークス)、
オウケンブルースリ(08年菊花賞)、
ジャガーメイル(10年天皇賞・春)、
トーセンジョーダン(11年天皇賞・秋)などG1馬を輩出し、2021年3月2日に23歳でこの世を去った。
「師匠の渡辺(栄)先生と勝てたのが何よりでしたね。安らかに眠ってほしい」としのぶ。相棒との絆、師匠との強い信頼関係が生んだ勝利だった。