「札幌記念・G2」(21日、札幌)
私が競馬を見始めた80年代後半。鉄火場のおっさんから「芦毛は走らんぞ」と、よく聞かされました。それでも“いぶし銀”スダホークが粘り強い走りでファンを魅了。89年にはウイナーズ
サークルが芦毛馬初のダービー馬に。そしてタマモクロスやオグリキャップが登場し、クロフネ、
ゴールドシップ…。時代は変わりましたね。
今夏の北海道出張は“白毛祭”でした。裏函には
ソダシと
ハヤヤッコ、さらには人気急上昇中の
アオラキの姿も。めったにお目にかかれない白毛馬3頭のそろい踏みは、なかなかのお得感でした。
日本で白毛馬を語る上で絶対に外せないのが、
ソダシと
ハヤヤッコの祖母に当たる
シラユキヒメでしょう。血統だけ見ると「一体、どこから白毛が?」と首をひねるばかりだが、これが突然変異の面白さ。大種牡馬サンデーサイレンスを父に持ち、母父はノーザンダンサー系のトップサイダー。
シラユキヒメ自身は未勝利のまま現役生活を終えたが、血統的には08年マイルCSを制した
ブルーメンブラット(父アドマイヤベガ)に近い配合だ。
この配合で注目すべきは、繁殖牝馬として大成功を収めた名牝アルマームードのクロスが入っていることだ。サンデーサイレンスの父であるヘイローの祖母がアルマームードであり、ノーザンダンサーの祖母もまたアルマームード。47年に生まれた彼女の遺伝力はまさに驚異的ですね。
キングカメハメハとクロフネを
チェンジしたのが
ソダシと
ハヤヤッコの関係性ですが、
パワーの源はやはり母系の奥深さでしょう。調べてみると、アルマームードの父マームードは英国競馬史上3頭目となる“芦毛”のダービー馬(36年)でした。
シラユキヒメの突然変異は、彼のDNAが刺激されたものかもしれませんね。(デイリースポーツ・松浦孝司)