◆第83回菊花賞・G1(10月23日、阪神・3000メートル)
中央競馬の秋のG1第3弾は、3歳クラシックの最終関門、第83回菊花賞・G1(23日、阪神)だ。皐月賞、日本ダービーで2着以内に入った馬が出走せず、本命不在の“戦国菊絵巻”。馬トク班が早くもつかんだのは、前走8着に沈んだ
プラダリアの激変情報。兄・謙一騎手(43)と弟・学調教師(42)の池添ブラザーズが、1984年の
グレード制導入後初となる「騎手&調教師」での兄弟GI制覇に挑む。
池添兄弟と
プラダリアが、大逆転でのラスト1冠奪取に早くも近づいた。春は青葉賞を勝利。日本ダービーでも5着に好走したディープインパクト産駒は、8着に敗れた秋初戦の神戸新聞杯をひと叩きしてまさに激変ムードを漂わせている。
滋賀・栗東トレーニングセンターのCW(ウッドチップ)コースで行われた13日の1週前追い切りが抜群だった。
オンザダブル(3歳1勝クラス)を3馬身追走し、直線は僚馬の内から力強い伸び脚。1200メートル81秒0―11秒6のタイムで5馬身突き放した。
手綱を執った主戦ジョッキーの池添は「前回は休み明けで体も気持ちも仕上がり途上。ガラッと変わらないと本番は厳しいと感じました。今回は比べものにならないくらいメチャクチャ良かった。この動きなら、楽しみを持っていけます」と声を弾ませた。
普段の調教にまたがる池添学調教師は「段階的に全ての面で良くなっています。日本ダービーの時は青葉賞から同じ中3週のレース間隔でも東京競馬場への長距離輸送が続くぶん、状態維持に気を遣うところもありました。今回は追い切りもしっかりできて、思い描いた通り。変わり身十分です」と厩舎初の
ビッグタイトル獲得へ自信をにじませた。
この兄弟タッグでのG1挑戦は7度目。先週の秋華賞では武豊騎手&武幸四郎調教師の兄弟が
ウォーターナビレラで挑むも果たせなかった快挙が、はっきりと見えてきた。3000メートルの長丁場にも不安はないと2人は口をそろえる。「スタミナは豊富。距離が長くなるぶんには、春から心配していません」と兄が言えば、弟も「心肺機能が高い馬で、競馬を使った後にダメージが残ったことがない。体が大きくなくて脚元への負担が少ないのと、筋肉の質がいいからでしょう」と適性を見込む。クラシックホース不在の混戦を断ち、池添兄弟が夢をかなえる。(吉村 達)
◆池添 謙一(いけぞえ・けんいち)1979年7月23日、滋賀県生まれ。43歳。デビューした98年に北九州記念(
トウショウオリオン)で重賞初制覇を飾ると、2002年の桜花賞(
アローキャリー)でG1初制覇。菊花賞は3冠馬
オルフェーヴルの手綱を執り11年に勝利。G1通算27勝。162センチ、50キロ。
◆池添 学(いけぞえ・まなぶ)1980年9月2日、滋賀県生まれ。42歳。2014年に調教師免許を取得し、15年3月に栗東で開業。初出走は同7日で、翌8日に初勝利を挙げた。17年のオーシャンS(
メラグラーナ)で重賞初勝利。青葉賞の
プラダリアなどJRA重賞は通算8勝。父は池添兼雄調教師。