◆第39回マイルCS・G1(11月20日、阪神・芝1600メートル)
第39回マイルCS(20日、阪神)の出走馬が17日、確定した。
ジャスティンカフェでJRA・G1初制覇を狙うのが、安田翔伍調教師(40)=栗東=だ。
ロードカナロアなど名馬を育てた父・安田隆行師(69)=同=の
ダノンザキッド、
ダノンスコーピオンを含めG1馬5頭がそろったが、レベルアップを果たした
エピファネイア産駒なら頂点に届いておかしくない。今日18日に枠順が発表される。
若きトレーナーが成長著しい
ジャスティンカフェと挑むJRA・G1初制覇。18年に開業し5年目、15度目での悲願のかかる一戦を前にしても、安田翔調教師は自然体を崩さない。
「勝った後に中央でも(G1を)勝ったんだ、と思うかも知れませんが今は意識していない。今まで取り組んできたことを発揮してくれれば、今回の強いメンバーが相手でもいい面は見られると思う」
デビュー時から潜在能力の高さは示していたが、がむしゃら過ぎる面を抱えていた。折り合いや、一気過ぎた
ギアチェンジなど修正課題を日々の調教から丹念に教え込んできた。
「そこを直さないと上のクラスでは弊害になってしまう。G1では位置取りなどにも対応できないと、展開頼みになってしまいますから」
成果が実感できたのが毎日王冠。2着に終わったが、マイルCSに向かう決意をさせてくれるレース内容だった。前日16日の追い切りでも栗東・CWコースで
サンライズウルス(4歳オープン)を追走した道中は我慢の利いた走り。最後に“解放”されると、ラスト1ハロン11秒2と鋭く伸びた。
「春から教えたことを発揮できているなと。(我慢を)徹底すれば最後にしっかり脚を使える。前走で(序盤に)もう一段階踏んでいってもリズムが壊れることはなさそうだ、という感触を(福永)祐一さんに得てもらえたのも大きい」
この世界に入る大きな要因となった父・安田隆調教師も2頭のG1馬を送り込む。安田親子がJRA・G1の舞台で対戦したのは20、21年のフェブラリーSで2度【注】。ともに息子が先着しているが、勝利には届いていない。
「結果を出されている先輩調教師として、もちろん尊敬しています。ただ、お互いの厩舎のやり方がある。刺激は受けますが、影響は受け過ぎないように心がけています」
父にとってもマイルCS初制覇のかかる一戦で、G1馬5頭のハイレベルなメンバー構成。
ジャスティンカフェが磨き上げた末脚で混戦を断ち切る。(戸田 和彦)
【注】安田翔師は20、21年に
ワンダーリーデルで〈4〉〈3〉着。安田隆師は20年に
ミッキーワイルド〈16〉着、21年は
レッドルゼル〈4〉着だった。
◆安田 翔伍(やすだ・しょうご)1982年7月8日、滋賀県生まれ。40歳。03年1月から父の安田隆厩舎で厩務員、助手を務め、
ロードカナロアや
カレンチャンなどの調教を行う。18年3月に厩舎を開業。JRAでは重賞6勝を含む通算100勝。地方では18〜21年までの
オメガパフュームによる東京大賞典4連覇を含む交流G1・5勝を挙げている。