ウインカーネリアン(右)がナミュール(右から2頭目)以下を封じてまんまと逃げ切った
◆第73回東京新聞杯・G3(2月5日、東京・芝1600メートル、良)
第73回東京新聞杯・G3(東京)は、4番人気の
ウインカーネリアン(三浦)が頭差で逃げ切り、重賞2勝目。マイル路線の主役候補の一頭として名乗りを上げた。
同じ過ちは繰り返さない―。
ウインカーネリアンの見事な逃走劇は、陣営の思いが結実した重賞奪取だった。前走のマイルCS(12着)ではゲート内で発走直前に立ち上がる“悪癖”を見せたが、今回はおとなしくゲート内に収まり、抜群の二の脚でハナへ。道中はよどみない流れで後続を引っ張り、残り400メートルから手応え十分に追い出されると、三浦の懸命のゲキに応えて内ラチ沿いを一直線に加速。ゴール前は際どい勝負となったが、
ナミュール以下の追い上げを頭差しのいでみせた。
本来の形なら力が違うと言わんばかりの強気のリードが光った一戦。殊勲の三浦から「初めてゲートという課題に直面して厩舎の方と話し合い、試行錯誤しながらだったのでこういう形で結果を出せてホッとしています」と安どの言葉が口を突けば、鹿戸調教師は「きょうはジョッキーのおかげ」と弟子をねぎらった。
前走の枠内駐立不良で発走調教再審査を課されたが、この中間は馬具を工夫。パシュファイアーで一部の視界を遮るとゲート試験2回目で合格した。「皇成もつきっきりでやってくれて、上手に出られればいい競馬になると思っていた」とトレーナー。課題さえ克服すれば、昨年のサマーマイル王の実力なら十分勝負になると踏んでいた。
昨年の関屋記念に続く2つ目のマイル重賞タイトル。鞍上は「去年果たせなかったG1の舞台をこの馬と一緒にしっかりとモノにできるように僕自身ももっと頑張っていきたい」と今年こそ頂点との思いが強い。登録済みのゴドルフィンマイル・ドバイG2(3月25日、メイダン競馬場・ダート1600メートル)に、鹿戸師は「ダートがダメということはないと思うので」と含みを持たせた。その先には安田記念(6月4日、東京)が視界に入るスクリーンヒーロー産駒が、マイルのスペシャリストへの第一歩を踏み出した。(石行 佑介)
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ウインカーネリアン 父スクリーンヒーロー、母コスモクリスタル(父マイネルラヴ)。美浦・鹿戸雄一厩舎所属の牡6歳。北海道新冠町・コスモヴュー
ファームの生産。通算成績は20戦8勝。総獲得賞金は2億1720万円。主な勝ち鞍は関屋記念・G3(22年)。馬主は(株)ウイン。