96年、騎手試験に合格し栗東所属となった福永ら花の12期生6人(左から和田竜二、古川吉洋、細江純子、福永祐一、常石勝義、高橋 亮)
サウジカップデー(25日、キングアブドゥルアジーズ競馬場)で引退する福永祐一騎手(46)=栗東・フリー=は現地で追い切りに騎乗。花の12期生、和田竜二騎手(45)=同=が言葉を贈った。
競馬学校「花の12期生」として、96年3月に福永とともに栗東からデビューした和田竜。同期だが、福永は骨折で競馬学校入学が1年遅れ、1つ年上だった。「入学した時には『祐一』と呼んでたと思うよ。頼れる存在ではあったけど、ぬけてるところもあったから、イジったりもしてたし。それより女性が3人もいたから、そっちに気を遣ってた」と笑う。
2人だけの共通点がある。福永は10年から動作解析の専門家、小野雄次氏に師事して11年、13年とリーディングに輝き、その後13年連続で年間100勝を達成。和田竜もその5〜6年後に小野氏との縁に恵まれ、後を追いかけてきた。「習ってきたことを知って驚きがあった。(解析の)
メソッドを体現して、(福永)本人は全然違ったと思う。競馬が始まったというか…やっと馬に乗る楽しさが分かった。周りは順風満帆に見えたかもしれないけど、壁を越えたのは本人」と敬意を表す。
栗東トレセンの調教スタンドのベンチで談笑する姿が日常的な2人だが、ツーショットで話し込む場面はなかった。「何とか負かしてやろうと思ってやってきたけど、最後まで負かされたね」。同期でありラ
イバル。一緒に戦えなくなることに悔しそうな、そして寂しそうな一面も見せた。
来月からは調教師と騎手という立場に変わるが「色々吸収しようと楽しんでできる人間。変わることを嫌う人もいるけど、彼は違う」と、最後はすがすがしい表情でエールを送った。(玉木 宏征)