28日をもって、橋田満(70)、池添兼雄(70)、南井克巳(70)、五十嵐忠男(70)、大江原哲(70)の調教師5人がトレーナー人生に幕を下ろす。指揮を執るラストウイークを迎え、それぞれが胸中を語った。
記憶に残る名馬を育て続けた。ダービー馬アドマイヤベガなどでJRA・G1・11勝を挙げた橋田師は「父(俊三・元調教師)を見て面白そうだなと思ってこの仕事に就きましたし、好きなことをやっていただけですよ」と振り返る。
自らが米国で見つけた繁殖牝馬
ワキアから生まれた
サイレンススズカは特に忘れられない。「かわいくて、きれいで、速くて、強烈な個性を自分から発信できる子でした」。98年宝塚記念など重賞5勝。同年の天皇賞・秋で天に召されたが、今でも多くの人の記憶に残り続けている。
師が懐かしむのは同年の毎日王冠の前夜だ。「旋回が止まらなくて獣医師さんもびっくりするぐらい発汗してね。馬房から出して運動させて、洗い場につないでようやくおとなしくなったんです」。翌日、心配をよそに完封勝利。誰もが最強馬とたたえた。
だからこそ、続く天皇賞・秋での無念さは消えない。「すごく残念でした。日本のサラブレッドにとって重要な血でしたから」。それでも、令和の時代にゲームアプリ「ウマ娘」で再び脚光を浴び、現役時代を知らない人々の記憶にも刻まれていくことをうれしく思う。「うまく考えてくれています。かわいくて、よく似ている。お墓にも多くの人が来てくれるようになったそうです」。星になった快速馬への思いは語り尽くせない。
日本調教師会の会長も2度務めた。「インフルエンザでの開催中止やコ
ロナを、乗り越えてこられたのは競馬社会のみんなが一生懸命やっているから。これからも団結していってほしいです」。名伯楽は、競馬界の明るい未来を願った。