【疾走!!
オリエンス急行(3)】皐月→ダービーを無敗で駆け抜ける名馬には強烈なキャラクターが付き物。古くは幻の馬トキノミノル、ナタの切れ味シンザン、隙を見せない皇帝シンボリルドルフ。平成に入ってからも天才トウカイテイオーに、坂路の申し子ミホノブルボン、そして英雄父子ディープインパクト&
コントレイル。
ソールオリエンスは粗削りで豪快なレースぶりとは裏腹に厩舎では優等生。担当の名畑助手は「馬房内では無駄な動きはなく穏やかに過ごして、競馬では真面目に走ってくれる。
フィエールマンに近いところはあります」と証言する。ただ、それだけではキャラ不足!?いや、ソールは京成杯当日の朝、輸送を終え中山競馬場に到着すると、与えられたカイバを食べ終えるなり、膝をついて寝落ち。競馬を知らない新馬には間々あることだが、既走馬はレース本番が近づいた緊張感で苦しがることも多いとか。「全くそわそわするそぶりがなかったですから、大物というか、ずぶといというか…」。無邪気な一面が
チャームポイント。
皐月賞前日に引退した
ヴァンドギャルドを筆頭に、兄姉は扱いが容易な気性ではなかった。「癖のある馬が多い血統なので、競馬に前向きに向かえるよう、メンタル面には気を使ってきました。この中間もこれまでより間隔が詰まるので注意していましたが、むしろ落ち着いているぐらい」。皐月賞では待避所からゲート裏への移動時に固まるなど、随所に子供っぽさをのぞかせたが、表彰式では至って優等生。手塚師は「精神面の伸びしろはある。でも、やっぱり凄いのはレース後がうるさくなかった。終わってカッカするG1馬はうちの厩舎にはいない。名馬の証というか、共通している部分」と解説する。
天真爛漫(らんまん)な優等生。キャラクターが濃い今年の皐月賞馬もまた無敗2冠の有資格者だ。