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【安田記念】12年ぶりの3歳馬V目指すシャンパンカラー 田中剛調教師「根性ありますもん」再び一発期待
2023年05月31日 06:15
１２年ぶりの３歳馬制覇に挑むシャンパンカラー
◆第73回安田記念・G1(6月4日、東京競馬場・芝1600メートル)
春のマイル王決定戦、第73回安田記念・G1(6月4日、東京)には、1984年のグレード制導入後初めて複数(2頭)の3歳馬が参戦する。NHKマイルC王者のシャンパンカラーは、田中剛調教師(62)＝美浦＝がデビュー前から素質を評価してきた厩舎の期待馬。今年2戦が不本意な敗戦に終わった昨年の朝日杯FS覇者ドルチェモアとともに、12年ぶりの3歳馬Vを目指す。
力を信じているからこそ、挑戦を決めた。NHKマイルCを9番人気で制したシャンパンカラーは、強豪古馬と初顔合わせとなる安田記念でも、一発を狙っている。出走が再び可能になった96年以降、3歳馬の勝利は11年のリアルインパクトのみ。それでも田中剛調教師は「やってみないと分からないが、相手なりに頑張ってくれると思う。根性ありますもん。勝ちたいという気持ちです」とファイティングポーズを崩さない。ここ一番で“やってくれる”馬だからだ。
前走のNHKマイルCは、ロゴタイプで勝った16年安田記念以来7年ぶりのG1制覇だったが、同時に厩舎の今年初勝利でもあった。スタートは「どこまで俺、ついてないんだ…」と天を仰ぐ出遅れ。しかし前が苦しくなる流れに加え、11番枠も手伝って直線では伸びる外にスムーズに出せたこともあり、力強い伸び脚で後方から差し切った。「そこから世界が逆になりました。これが競馬なんだなって」。青山洋一オーナー、内田騎手の3人で表彰式後に抱き合い、熱く胸が震えた。
白星に見放された年明けからの4か月間は、もがき苦しむ日々だった。「一番ケツで、これ以上は下がることはない。とことん下がってやるよ」と夫人に自嘲気味に愚痴をこぼし、「バカなこと言わないで」とたしなめられるほどだった。競馬開催日でも、自ら早朝に調教をつけて競馬場へ向かうなど、馬と愚直に向き合い続けた姿を、天は見放していなかった。
シャンパンカラーももちろん自ら追い切りに騎乗し、デビュー前から「リニアモーターカーみたい」と滑らかな加速に能力を感じ取っていた逸材だ。「心臓の拍動が他の馬より1分間に8回くらい少ない。心肺機能はすごい」とも評価しており、3歳牡馬で斤量54キロの利は見逃せない。職人肌のトレーナーが、雑草魂でひと泡吹かせる。(坂本 達洋)
3歳馬は厳しい戦い 成長途上の中3週＆古馬も層厚い
3歳馬の勝利は、グレード制が導入され、出走が再び可能になった1996年以降、11年のリアルインパクトのみ。古馬との斤量差があるにもかかわらず、結果は出ていない。2頭参戦の今年はどうか？ 結論から言うと、厳しいと言わざるを得ない。
日本ダービーで青葉賞組が勝てない要因の一つとして、中3週の短い間隔でタフな東京・芝2400メートルを2度走ることが挙げられる。シャンパンカラーは安田記念が今年4戦目で、ドルチェモアは3戦目。東京マイルもワンターンとはいえタフなコースで、同じく中3週になる。世代トップとしのぎを削った先にある古馬との決戦に、余力を持って臨めるのか。夏を越し、成長を遂げた後の秋ならまだしも、その途上にあるこの時期に、歴戦の古馬を相手に過酷なレースを乗り切れるかは疑問符がつく。
歴代2位の通算1570勝を挙げた藤沢和雄元調教師は「世界はスピードのある馬で長い距離を勝つような馬づくりをしている」と指摘し、マイル以下のG1で6勝を挙げたグランアレグリアで2度、2000メートルG1(21年大阪杯4着、同天皇賞・秋3着)に挑んだ。世界的にもマイルが主流の流れになっている点を踏まえれば、層も単純に厚い。今年も3歳馬にとって、立ちはだかる古馬の壁は厚い。(松末 守司)
春のマイル王決定戦、第73回安田記念・G1(6月4日、東京)には、1984年のグレード制導入後初めて複数(2頭)の3歳馬が参戦する。NHKマイルC王者のシャンパンカラーは、田中剛調教師(62)＝美浦＝がデビュー前から素質を評価してきた厩舎の期待馬。今年2戦が不本意な敗戦に終わった昨年の朝日杯FS覇者ドルチェモアとともに、12年ぶりの3歳馬Vを目指す。
力を信じているからこそ、挑戦を決めた。NHKマイルCを9番人気で制したシャンパンカラーは、強豪古馬と初顔合わせとなる安田記念でも、一発を狙っている。出走が再び可能になった96年以降、3歳馬の勝利は11年のリアルインパクトのみ。それでも田中剛調教師は「やってみないと分からないが、相手なりに頑張ってくれると思う。根性ありますもん。勝ちたいという気持ちです」とファイティングポーズを崩さない。ここ一番で“やってくれる”馬だからだ。
前走のNHKマイルCは、ロゴタイプで勝った16年安田記念以来7年ぶりのG1制覇だったが、同時に厩舎の今年初勝利でもあった。スタートは「どこまで俺、ついてないんだ…」と天を仰ぐ出遅れ。しかし前が苦しくなる流れに加え、11番枠も手伝って直線では伸びる外にスムーズに出せたこともあり、力強い伸び脚で後方から差し切った。「そこから世界が逆になりました。これが競馬なんだなって」。青山洋一オーナー、内田騎手の3人で表彰式後に抱き合い、熱く胸が震えた。
白星に見放された年明けからの4か月間は、もがき苦しむ日々だった。「一番ケツで、これ以上は下がることはない。とことん下がってやるよ」と夫人に自嘲気味に愚痴をこぼし、「バカなこと言わないで」とたしなめられるほどだった。競馬開催日でも、自ら早朝に調教をつけて競馬場へ向かうなど、馬と愚直に向き合い続けた姿を、天は見放していなかった。
シャンパンカラーももちろん自ら追い切りに騎乗し、デビュー前から「リニアモーターカーみたい」と滑らかな加速に能力を感じ取っていた逸材だ。「心臓の拍動が他の馬より1分間に8回くらい少ない。心肺機能はすごい」とも評価しており、3歳牡馬で斤量54キロの利は見逃せない。職人肌のトレーナーが、雑草魂でひと泡吹かせる。(坂本 達洋)
3歳馬は厳しい戦い 成長途上の中3週＆古馬も層厚い
3歳馬の勝利は、グレード制が導入され、出走が再び可能になった1996年以降、11年のリアルインパクトのみ。古馬との斤量差があるにもかかわらず、結果は出ていない。2頭参戦の今年はどうか？ 結論から言うと、厳しいと言わざるを得ない。
日本ダービーで青葉賞組が勝てない要因の一つとして、中3週の短い間隔でタフな東京・芝2400メートルを2度走ることが挙げられる。シャンパンカラーは安田記念が今年4戦目で、ドルチェモアは3戦目。東京マイルもワンターンとはいえタフなコースで、同じく中3週になる。世代トップとしのぎを削った先にある古馬との決戦に、余力を持って臨めるのか。夏を越し、成長を遂げた後の秋ならまだしも、その途上にあるこの時期に、歴戦の古馬を相手に過酷なレースを乗り切れるかは疑問符がつく。
歴代2位の通算1570勝を挙げた藤沢和雄元調教師は「世界はスピードのある馬で長い距離を勝つような馬づくりをしている」と指摘し、マイル以下のG1で6勝を挙げたグランアレグリアで2度、2000メートルG1(21年大阪杯4着、同天皇賞・秋3着)に挑んだ。世界的にもマイルが主流の流れになっている点を踏まえれば、層も単純に厚い。今年も3歳馬にとって、立ちはだかる古馬の壁は厚い。(松末 守司)
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