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馬の栄養士“フィードマン”のお仕事とは

2023年06月27日 10:00

 渡辺師(左)とともにヴェラアズールの様子を確認する河田安弘フィードマン

 まさに縁の下の力持ち。“フィードマン”をご存じだろうか。簡単に言えば、馬糧(カイバ)を扱う人のこと。トレセンでは、調教師から一任された厩舎スタッフが、普段の作業と兼任してその役割を担うことが多い。

 フィードマンとして、トレセンを駆け回る人物がいる。カワダレーシングサポートの河田安弘さん(49)だ。馬糧会社に勤めていたが、その後に独立。現在、栗東トレセンで藤岡厩舎、渡辺厩舎など6厩舎と契約し、専門のフィードマンとして腕を振るう。厩舎スタッフではなく、それに特化したフィードマンは現在、河田さん1人しかいない。

 能力を発揮できるか否か-。人間と同じでサラブレッドも食生活が重要。「分かりやすく言えば、馬の栄養士です」と河田さん。関係者と馬をサポートするカイバのアドバイザーだ。

 早朝の栗東トレセン。調教に向かう様子、それを終えた姿を確認して、関係者と言葉を交わす。さらに、調教終了後は、調教師と一緒に一頭一頭の馬体をチェック。担当者の意見や感想を聞きながら細かくメモを残していく。「情報交換は調教メニュー、健康状態が主。馬体を見て、スタッフと意見を交換しながら、飼料のメニューを考えます」。馬糧会社に勤めた経験と感覚から正解を導き出す。

 カイバとはエン麦、配合飼料、サプリメントを混ぜたもの。味の濃い薄いに、カロリーの高い低いなど、種類が違う。「人間に例えると、エン麦がご飯。配合飼料がおかずやみそ汁。それぞれの量をどうする?っていうこと。厩舎によって使うカイバが違う。バランスを考えて、配合飼料やサプリなど、選ぶアドバイスをします」と説明する。

 販売業ではないため、自ら売り込むことはしない。「調教に合う、合わないが大事。調教は調教師やスタッフが考えるものだから。厩舎によっても調教内容が違う。これを食べているから、こういう調教をしよう、ではなく、調教をしながら“こういうカイバがいいのでは”といった提案をします。だから、スタッフの乗った感触、触った感触が大事。まず、馬の体調を知ることです」。あくまでも、厩舎の調教方針が主体だ。

 ただ、好き嫌いもあれば、食の細い馬もいる。日によって馬の体調も違うから難しい。「食べてもらわないと駄目なので、食べない馬が食べるものを探すのも仕事。いろんな種類を食べさせて。それこそビュッフェですよ。当たりはどれ?当たった?じゃあ、それでいこう!って」。甘いものに食いつく馬もいれば、あっさりした薄味を好む馬もいる。スタッフが頭を悩ませる中、“当たり”を引いた時はガッツポーズものだという。

 絞りたい、太らせたいと目的もさまざま。牧場から帰厩した時、追い切りの前後、レースの前後で摂取する量やバランスも異なる。「2歳で筋肉を増やしたい、ゲート練習中でテンションを上げたくない、とか。配合の割合によってテンションも違うし、食べさせると元気になります。カロリーを抑えたいけど、量を減らすとストレスになる。人間もダイエットしたいけど、食べたい。食べたいという欲求がストレスになるから。カロリーを抑えて量は食べられるように、とか」。聞けば聞くほど、馬と食事の関係がいかに複雑かが分かる。フィードマンの腕の見せどころだ。

 アスリートと馬は共通する部分も多い。それは食も同じらしい。「グリコーゲン・ローディング法。運動前に炭水化物を取りましょう、うどんやおにぎりを食べましょうとか。ひと昔前だと人間でサプリはやっているけど、馬はどう?って。人間の栄養学をどうやって馬に使うかなんです」。馬も選び抜かれた“勝負メシ”でレースに挑むのだ。

 馬体チェックでは、歩かせたり、常歩(なみあし)をさせたりして確認することもある。「筋肉をつけたいっていっても、トモが緩い馬はうまくトレーニングできていない。筋トレになっていないんです。それでは筋肉を増やそうと食べさせても付かない。運動しつつ、それに合わせてどんな割合でカイバを食べさせるか。動くところを一緒に見て、自分の見た感覚と、乗り手の感覚をすり合わせる。ガチッとハマった時はうれしいですね」。やりがいを感じる瞬間を教えてくれた。

 記者は明太子があればご飯を何杯でも食べられる。また、疲れ具合によってはみそ汁の濃い、薄いなど好みも変わる。そして、苦手なおかずに箸は進まない…。人間と違って話すことのできない馬だけに、その胃袋や精神状態を満たすのは非常に難しい。カイバは、エン麦、配合飼料、サプリメントの組み合わせだけで、何千通りもあり、さらに、それぞれの量の配分を加えると何万通りにもなる。その中から“最適な食”をチョイスすのだから、まるでパズルのようだ。よりいい体調でレースに臨み、いい走りを-。フィードマン・河田さんは厩舎を支える欠かせない存在なのだ。(デイリースポーツ・井上達也)

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