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ケガで引退した競走馬と久々の再会 リトレーニングへの道

2023年07月04日 16:00

ハルクンノテソーロと再会した山下優記者

 ハルクンノテソーロという馬をご存じだろうか。私が前職の時にマネジメントをしていた馬だ。17年のユニコーンSで2着など活躍し、21年に障害に転向してからも巧みな飛越で期待されていた。

 だが、22年の1月のレース中に右前浅屈腱不全断裂を発症し、競走を中止した。オーナーの愛着が強い馬だったこともあり、私は何とかいい場所に引き取ってもらいたいと考えた。ただ、治療にはお金や時間がかかる。普通の乗馬クラブでは受け入れてもらえるわけがない。そこで思い浮かんだのが、湖南馬事センター(滋賀県甲賀市)だ。

 ここでは毎年4月と10月に15人ほどの生徒が入学し、競馬界での活躍を目標に半年の期間、技術や知識を学んでいる「馬の学校」。このような施設は全国にいくつかあるが、ここは競走馬を引退してすぐの3歳馬や4歳馬など、比較的若い馬が多く、より実践的な研修が積めることが特徴だ。その他にも競走馬を乗馬用にリトレーニング(再調教)したり、ポニーを連れて近くのイベント、幼稚園に出張して馬の魅力を小さい子供に伝えるボランティアも行っている。

 ハルクンは障害がうまく、「脚が治れば乗馬できっと活躍できる」と和田雄二調教師も話していたこと、ケガの対処などで生徒さんの役に立ちそうなことを齋藤昭浩センター長に電話で伝えると、幸運にも受け入れてもらえることになった。

 リトレーニングを担当している須田和(なごみ)さんは、ハルクンが初めてセンターに来た際に、付けていたギプスを外すと「何だこれは、というくらい右前が腫れていました」と当時の様子を振り返る。その後は時間をかけて治療を施し、乗れるようになるまで回復した。リトレーニングを開始してからは「とにかく敏感で、ちょっとしたことに物見をしましたね。あとはケガをした右前脚をかばって、右回りでの運動を拒んだこともありました」と須田さん。ケガをした競走馬が、乗馬に転ずることの難しさが伝わるエピソードだ。今では環境にも慣れ、併設する乗馬クラブのお客さんにも、かわいがってもらっている。

 先日、ハルクンに会いに湖南馬事センターを訪れた。現役時代に放牧先で会って以来の再会だ。「もし良かったら、ハルクンに乗ってみませんか?」と須田さんが聞いてきた。断る理由などあるわけがない。初めての背中はとても乗り心地がよかった。「よく頑張ったね、いい場所に来られてよかったね」と馬上で語りかけた。「もう大丈夫だよ」とハルクンに言われた気がした。また、お土産のニンジンを持って行こう。(中央競馬担当・山下 優)

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