◆第61回七夕賞・G3(7月13日、福島競馬場・芝2000メートル)
サマー2000シリーズ第2戦、第61回七夕賞・G3(13日、福島)に、田中勝春調教師(54)=美浦=が新潟大賞典の勝ち馬
シリウスコルトを送り出す。ジョッキー時代に3勝した相性のいいレース。今年3月に開業した厩舎の初勝利と初タイトルをもたらした4歳馬の重賞連勝だけでなく、史上3人目となる騎手&調教師での制覇へ「力をつけている」と手応え十分だ。
騎手の時以上に精力的だ。田中勝調教師は全休日明けの8日も午前5時の開門から管理馬の動き、馬体をチェックして回った。ダートコースを1周半して体を動かした
シリウスコルトについては「順調にきているかな。暑いけど馬は元気にきている」と説明した。
3月に開業した際「まず1勝」を目標に掲げたが、その厩舎の初勝利(4月13日、福島民報杯)をもたらしてくれたのが
シリウスコルトだった。勢いそのままに、前走の新潟大賞典では重賞初制覇も達成。「スムーズに走れたのが良かったんじゃないかな。(ハナに行ったけど)想定内の力みだったし、最後も着差はあったし力をつけている」と振り返った。
調教師試験に合格してから開業するまでの間、宗像厩舎で技術調教師として見てきた。「もともとポテンシャルが高い馬が、だんだんと良くなってきた」と自身が管理するようになってから〈2〉《1》《1》の好成績を分析。そのうえで「いい状態で宗像先生から引き継がせてもらったのが大きかった。(重賞V後は)先生から電話がかかってきて喜んでいたよ」と“師匠”への感謝も忘れない。
騎手時代に3勝している好相性のレースに、今年はトレーナーとして挑む。「(ジョッキーとして)最後に重賞を勝ったのが
エヒトだったしね。(最初に勝った)イーグルカフェは3コーナーあたりから早めに上がっていって、ぶっちぎっちゃった。あの日は先生(小島太元調教師)が北海道にいて『乗りたいように乗れるわ〜』と思っていたよ(笑)」。騎手と調教師で勝利すれば本紙評論家の小島太さん、菊沢隆徳調教師に続く3人目の快挙。立場が変わっても、七夕賞男として夏の福島を盛り上げる。(西山 智昭)
◆田中 勝春(たなか・かつはる)1971年2月25日、北海道出身。54歳。89年に騎手デビュー。2023年12月末の引退までJRA通算2万657戦に騎乗し、歴代14位の1812勝。重賞はG12勝を含む51勝。七夕賞は02年イーグルカフェ、03年
ミデオンビット、22年
エヒトで3勝。24年に調教師免許を取得し、今年3月に厩舎を開業。JRA通算57戦3勝。重賞1勝(8日現在)。