秋の牝馬三冠最終戦、秋華賞へ向けた重要な
トライアルレースである紫苑S。中山競馬場の芝2000mを舞台に行われるこの一戦は、急坂を二度越えるタフなコース設定で、スタミナと底力が問われる。今年も春のクラシックを沸かせた実力馬から、夏の上がり馬まで多彩なメンバーが揃い、本番への切符を賭けた激しい戦いが予想される。
1.格の違いを見せる前走GI組
過去10年のデータを分析すると、前走でGIレースに出走していた馬が[5-6-4-26]と、出走馬の多くを占めるだけでなく、複勝率36.6%という高い好走率を記録している。特に春のクラシックであるオークスからの臨戦過程は王道ローテーションと言える。対照的に、前走が1勝クラスだった馬は[2-1-3-57]で複勝率9.5%と、勝ち馬は出ているものの苦戦傾向が顕著だ。格上の馬がその実力通りに結果を出す傾向が強く、まずはGI組を中心に評価するのが
セオリーだろう。
2.前走1着馬は過信禁物、惜敗組に妙味
前走の着順別成績を見ると、意外な傾向が浮かび上がる。前走で1着だった馬は[3-2-2-51]で複勝率12.1%、複勝回収率34%と低迷している。夏の上がり馬など勢いを持って臨む馬が人気を集めやすいが、データ上は過信禁物だ。むしろ狙いは惜敗組で、前走2着馬は[1-1-3-7]で複勝率41.7%、前走3着馬も[2-0-1-8]で複勝率27.3%と高い数値を記録。前哨戦では勝ち切るよりも、程よく負けた馬に妙味がある。
3.後方からの強襲に注意が必要
脚質傾向を見ると、前走で4コーナーを10番手以下で通過した、いわゆる差し・追い込みタイプの馬が波乱を演出するケースが目立つ。これらの馬は過去に[3-4-4-27]と、勝ち馬も複数輩出しており、複勝率は28.9%、複勝回収率は81%と馬券的妙味も十分だ。逆に、前走で4コーナーを先頭で通過した馬は[1-0-0-12]で複勝率7.7%と極端に成績が悪い。中山内回りコースだが、単純な逃げ、先行有利のレースにはならないことを示唆している。
リンクスティップは桜花賞3着、オークス5着と世代トップクラスの実績で、能力はメンバー随一。前走がGIのオークスで、4角8番手だが後方から脚を伸ばしている。ここは順当に押し切りが濃厚。