直線で抜け出すカムニャック(中央)=撮影・石湯恒介
「ローズS・G2」(14日、阪神)
樫の女王
カムニャックが始動戦から力を見せつけた。夏を越して心身ともに充実。堂々たる勝ちっぷりで、牝馬2冠へ視界を大きく広げた。
前半1000メートル通過が56秒8という速めのペースを好位で構え、道中は手応え十分に進める。しかし、4角で
ミッキーマドンナの外斜行により、外へと膨れた
テレサと接触。鞍上の川田が一瞬姿勢を崩すほどだったが、強じんな精神力で乗り越えると、馬場の真ん中を力強く突き抜けた。
「4コーナーまではとてもいい内容でしたが、内から当てられて危うく落ちるほど。一度は動けなくなったところから、もう一度動いてくれました。能力だけで何とか勝ち切れたと思います」と川田。やや後味の悪さを残す一戦だったが、友道師によれば「少し左トモに外傷がありましたが、大きなものではない」とのこと。不利を受けたなかでも勝ち切ったあたりに成長が表れていた。
今回の勝利は春の実績がフロックでなかったことを改めて示す内容。それどころか樫の女王は、ひと夏を越してさらなる進化を遂げた。トレーナーは「背が高くなり、フレームも大きくなった。牝馬らしからぬ体に成長してくれた」と目を細める。次の
ターゲットは牝馬3冠最終戦の秋華賞(10月19日・京都)。「この競馬ができれば、(京都の)内回りも問題ないと思う」と自信を深めた指揮官。馬名の由来は
サンブル語で「祝福された者」。牝馬2冠へ、オークス馬は祝福の道を突き進む。