◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
線状降水帯の影響で、石川県内が大雨に見舞われたのは8月6日。翌日まで降り続き、12時間で331・5ミリという観測史上1位の雨量を記録した。金沢競馬場の被害は甚大で厩務員の宿舎37世帯が床上浸水。競走馬約600頭が長時間、水に漬かった。夜半に刻々とかさを増し、雨水は膝上に迫る勢い。心細かっただろう。水で砂がさらわれたコースは穴だらけ。安全で公正なレースは不可能と判断され、金沢競馬は開催中止に追い込まれた。
再開したのは9月7日。同30日にはJRA所属馬も出走する白山大賞典が無事に行われた。金沢競馬に所属し、全国各地の重賞で活躍する吉原寛人騎手は「水に漬かった馬の脚がどうなるか心配だったが、厩舎スタッフが懸命にケアをしていた。コースの整備を主催者がしてくれたことで再開できた」と関係者の努力を振り返る。
そんな金沢競馬を救おうと、全国の競馬場で支援活動が行われている。大井競馬では、10月5日にチャリティー
オークションを実施。所属騎手の
サイン入り勝負服などの売上金47万5000円に加え、矢野貴之騎手個人が8万円を石川県騎手部会に寄付。船橋競馬は2日の第5レースを支援レースとし、売得金の5%を支援金とした。
支援の輪に触れ「皆さんが金沢競馬を気にかけてくださって、本当にありがたい」と吉原騎手。11月9日には北國王冠などビッグレースを控える金沢競馬。これまで以上に盛り上がるに違いない。(地方競馬担当・志賀 浩子)
◆志賀 浩子(しが・ひろこ) フリー記者を経て21年に社員となり中央競馬担当。23年から現職。