◆第50回エリザベス女王杯・G1(11月16日、京都競馬場・芝2200メートル)
紡いできた絆の強さは誰にも負けない。
シンリョクカ(牝5歳、美浦・竹内正洋厩舎、父
サトノダイヤモンド)で3年連続の参戦となる木幡初也騎手は、あくまでパートナーの能力を信じてG1初制覇を狙う。「昨年も言いましたけど、ノーチャンスではないと思っているので。勝つという形ある結果で恩を返せることが、この世界では一番いいですよね。あたっていくしかないです」と完全燃焼の騎乗を誓う。
3歳で挑んだおととしは9着に終わったが、力をつけた昨年は正攻法の競馬で0秒5差の4着とG1でも通用する力を示した。4角で外の
ハーパーに蓋をされて直線の入り口では内を突く形になったが、しぶとく最後まで勝負根性を見せた。「内は馬場が荒れていたけど、苦にせず走ってくれました。舞台は問題ないし、平均ペースくらいでリズム良く行ければ、力を出してくれると思う」と、“三度目の正直”へイメージはできている。
5歳秋を迎えて、衰えや気持ちが燃え尽きてきたそぶりはない。連覇を狙った前走の新潟記念は、スローペースの決め手勝負と不向きな展開のなか、先行馬で唯一踏ん張って4着と意地を見せた。「若い時から気持ちが強くて、そこは変わっていない武器」と、本番へ悲観する内容ではなかった。
22年の阪神JF(2着)で初コンビ。23年のこのレースから11戦連続でタッグを組み続けてきた。由井健太郎オーナーや竹内調教師、応援してくれる人々への感謝は尽きない。「行く馬がいなかったら、逃げても競馬ができると思っています。スタートしてから選べる選択肢が多いのが、あの子の強みなので」。互いを知り尽くした人馬に迷いはない。(坂本 達洋)
◆木幡 初也(こわた・はつや)1995年4月7日、茨城県生まれ。30歳。美浦・竹内厩舎所属。14年3月1日に中山でデビューし、同月15日に初勝利。24年新潟記念(
シンリョクカ)の重賞1勝を含むJRA通算93勝。155・3センチ、47・2キロ。木幡初広元JRA騎手の長男で、次男・巧也、三男・育也もともに現役のJRA騎手。