ルメール騎手を背にCWコースで追い切るステレンボッシュ
◆第50回エリザベス女王杯・G1(11月16日、京都競馬場・芝2200メートル)追い切り=11月12日、栗東トレセン
先週も今週も
ステレンボッシュ(牝4歳、美浦・国枝栄厩舎、父
エピファネイア)の馬上には「無双の人」がいた。このレースで騎乗機会G14連勝を狙うクリストフ・ルメール騎手=栗東=だ。未知の馬が多い新馬ならまだしも、最近のG1でルメールが2週連続でパートナーの調教をつけるのは、あまり記憶にない。「ここのところ消化不良だったので、何かしらをつかんでもらえれば」と説明する国枝調教師のリク
エストで実現した。
栗東・CWコースで
ベルベルコンパス(3歳3勝クラス)を内から追走する形は先週と同じ。ただ、今週は10馬身以上離れた後ろから追走した。「テンから併せると行きすぎるので」とトレーナー。しかし、遠く離れた位置でも闘争心は収まらない。抜群の行きっぷりで前に取りつき、最後こそ脚色が鈍ったが、7ハロン95秒4―12秒1。しっかりと負荷がかかった。
「元気ですね。コンディションは問題ありません。ただ、一生懸命走っている。
リラックスして走れないと、京都の2200メートルは厳しいです」とルメールは冷静に
ジャッジする。ただ、陣営は札幌記念15着後にケロッとしている愛馬の姿を見て、中間は気持ちを乗せることを念頭に調整した。制御が利くかは大事だが、その効果は出ている。
今まで栗東滞在時は2、1、3着と複勝率10割。その話題をトレーナーに振ると、「最近はいい感じでいってダメなので、そんな成功体験に賭けるという感じかな」と笑った。
アーモンドアイなどを送り出した名コンビのルメールに2週連続で乗ってもらい、相性のいい場所で気持ちを前面に出す調整。牝馬G1完全制覇もかかる国枝師の勝負気配を感じずにはいられなかった。(山本 武志)