Wコースで追い切ったレガレイラ(中)(カメラ・荒牧 徹)
◆第50回エリザベス女王杯・G1(11月16日、京都競馬場・芝2200メートル)追い切り=11月12日、美浦トレセン
朝日を背中から一身に浴びた
レガレイラに視線が注がれた。開場直後の美浦・Wコースがその舞台。道中は先行する
アルセナール(4歳オープン)と
ガルサブランカ(4歳2勝クラス)の2番手を追走。戸崎がストロングポイントに挙げる「乗りやすいところ」を体現する。道中は1馬身ずつの等間隔で折り合いはぴたり。直線では僚馬2頭に挟まれる形でも全くひるむ様子はなく、6ハロン83秒1ー11秒4の時計をマーク。鞍上の意図のままに真っすぐと伸びて最先着した。「ゴールへ向けて頑張ってくれて、スタッフと話し合った設計図通りになった」と木村調教師。その表情からも、理想通りの調整を踏んでいることが伝わった。
64年ぶり2頭目となる、3歳牝馬での有馬記念制覇から半年後。春秋
グランプリ制覇を目指して出走した宝塚記念は、骨折明けや稍重の馬場に脚を取られて、よもやの11着に惨敗した。夏の休養を挟み秋初戦として迎えた前走のオールカマーは、仕上がり途上や斤量57キロなど、周囲の不安をシャットアウトするかのような差し切り勝ちだった。「久しぶりの競馬でしたけど、折り合いも良かったし、騎手の指示通りに動きながら最後にしっかり脚を使ってくれていい競馬だった」。そう指揮官が振り返ったように、牡馬混合G12勝の力を、改めて示す復活Vとなった。
昨年は1・9倍の1番人気に支持されたが、スムーズな競馬ができず5着と苦杯をなめた女王決定戦。「ジョッキーもその時々で最善は尽くしてくれたが、スムーズにいかないことが、
レガレイラに当たってしまったなという状況。応援してくれた方には申し訳ないシチュエーションだった」。JRA・G113勝のトップトレーナーにとっても、競馬の難しさを実感する形になった。だが、「広いコースなので言い訳が利かない部分はある。舞台がネガティブになるとは捉えていない」ときっぱり。あの悔しい思いから1年。今年こそ現役最強牝馬を証明する。
(浅子 祐貴)