◆第50回エリザベス女王杯・G1(11月16日、京都競馬場・芝2200メートル)追い切り=11月12日、栗東トレセン
レジェンドの体感を超える速さが、充実期の証だった。
エリカエクスプレス(牝3歳、栗東・杉山晴紀厩舎、父
エピファネイア)が栗東・坂路で、52秒6の好時計を出した直後。武豊騎手=栗東・フリー=は杉山晴調教師に切り出した。「すいません、軽すぎましたか?」「いや、52秒ぐらい出ていましたよ」。その答えに武豊は「えっ!?」と驚いた。「やっぱり、ス
トライドも、乗っている感触よりも大きくなっているのかなという印象でしたね」とトレーナーは満足そうにうなずく。
動きの質も申し分ない。序盤から
リラックスした感じで入ると、鞍上の手綱が軽く動いただけで、伸びやかなフットワークに変わる。チップを後ろに大きく蹴り上げながら、全く無理せずにラスト2ハロンは12秒1、12秒1でまとめた。「調教ではそれほどイレこんでいなくて、すごく大人しかったですね。動きは良かったですよ」と武豊は振り返る。
今回は中3週と、今までで最も短い間隔での一戦。中間の調整も工夫した。今までCWコースで負荷をかけていた、1週前追い切りも坂路でサッと行った。レース当週は「負荷がそれほどかからない追い切りをしてくれる」武豊に騎乗を依頼。実は初コンビで2着と結果を出した秋華賞と同じで、成功体験を踏襲した形だ。
秋華賞後。武豊は「折り合いひとつで、中距離でも問題ないですよ」とトレーナーに告げた。距離延長、初の年長馬相手のG1、内回りから外回りへ…。決して条件は楽ではないが、武豊は前を向く。「本当に早い段階で調教師の方から『エリザベス女王杯に行こう』という話を聞いたので、それに応えたい気持ちが強いです」。4戦中3戦で主導権を握ってきた今秋のG1戦線。今週もレジェンドがレースを“支配”する。(山本 武志)