【競馬人生劇場・平松さとし】今週末、京都競馬場でエリザベス女王杯が行われる。この牝馬限定のG1で、個人的に特に印象に残っているのが09年の一戦だ。私は当時、スポニチ紙上の予想で
クィーンスプマンテに◎を打った。18頭立てで11番人気、単勝オッズは77・1倍。それでも逃げ馬で展開の利が見込めそうだったため、思い切って本命に推した。結果は手前ミソになるが的中。田中博康騎手(現調教師)に導かれた
クィーンスプマンテが逃げ切り勝ちを収めたのだ。2着にはさらに人気薄の
テイエムプリキュアが入り、1番人気
ブエナビスタの猛追を抑え込んだ。3連単は154万5760円という高配当。まさに“おいしい馬券”となった。
◎を打つほど自信がありながら、実はレース前に関係者への取材は全く行っていなかった。そこでレース後、管理する小島茂之調教師を訪ねると、師は「僕もひそかに自信があったんです」と語り、その理由を教えてくれた。
一つは、
クィーンスプマンテにとってこのレースが4度目の栗東滞在からの臨戦だったこと。2年前、初めて栗東から臨んだ秋華賞ではイレ込んで激しく発汗したが、今回はすっかり慣れ、終始落ち着いていたそうだ。
また、たまに出遅れる馬だったが「その心配もなさそう」と感じていたそうで、続けて理由を述べた。
「出遅れるのはゲートの前扉をかじってしまうからでした。でも、今回はスタンド前発走。程よく気合が入るはずなので、心配していませんでした」
それでも2番手に
テイエムプリキュアがぴったりついてきた時は「嫌な感じだった」そうだが、終わってみればそれが奏功した。前半5ハロンは60秒台と決して速くなかったが、見た目には2頭が競り合っているように映り、後続勢が控えた。その結果、2頭は楽にアドバンテージを得て、
クィーンスプマンテが逃げ切ったのである。
さて、今週のエリザベス女王杯でも、果たしてまた“アッと驚く”結末が待っているだろうか。そんな期待を胸に予想したい。(フリーライター)