10年エリザベス女王杯。スノーフェアリー(右)が直線イン強襲から一気に抜け出し、4馬身差をつけて優勝
今年のエリザベス女王杯・G1(11月16日、京都競馬場・芝2200メートル)は、どんなドラマが生まれるのか。過去の名勝負・10年の
スノーフェアリー勝利を振り返る。
まるで異次元の走りだった。勝負どころの4コーナー。誰もが外に進路をとる3冠牝馬
アパパネ、
メイショウベルーガに目を奪われていた。その時だ。わずか1秒前に
アパパネの真横にいたはずの
スノーフェアリーが内ラチ沿いを抜け出している。まるでワープしたかのような爆発的な瞬発力だ。
ラスト1ハロン地点で先頭に立つとラチ沿いを通って差を広げていく。日本馬たちが懸命に追いかけようとするが、その姿はさらに遠くなっていく。最後は独走状態で4馬身差の圧勝。その実力をまざまざと見せつけた。
英・愛オークスを制した3歳時に初めて日本に乗り込み、翌年11年も勝利してエリザベス女王杯を連覇。JRA史上初の外国調教馬による平地G1連覇を果たした
スノーフェアリー。それにしてもすごい末脚だった。馬場の真ん中で繰り広げられる日本馬たちの“死闘”をあざ笑うかのように英国馬
スノーフェアリーが、インから一瞬にして抜け出し、4馬身差をつけた。英、愛オークス勝ちが示すように欧州最強の3歳牝馬。能力は間違いなく高く、カギは空輸によるダメージの度合いと日本の高速馬場への適応だった。
しかし、そんな不安を抱くべきではなかった。管理するダンロップ調教師は欧州年度代表馬
ウィジャボードを管理した名トレーナーで、05年には同馬でブ
リーダーズC→
ジャパンC→香港ヴァーズと世界中を遠征。空輸へのケア、ノウハウは熟知しており、日本の馬場への適性を見抜く眼力の確かさも備わっていた。そして、ラスト3ハロン34秒0という強烈な決定力と圧倒的な強さという形で表現されたわけだ。