◆第50回エリザベス女王杯・G1(11月16日、京都競馬場・芝2200メートル、良
第50回エリザベス女王杯・G1は16日、京都競馬場で行われ、1番人気の
レガレイラが差し切ってG1・3勝目を挙げた。昨年は5着に敗れていた舞台で雪辱し、勝ち時計2分11秒0はレースレコードとなった。戸崎圭太騎手(45)=美浦・田島厩舎=はインタビューで「ベリベリホース」と自身の“名言”を絶叫。この後は連覇のかかる有馬記念・G1(12月28日、中山)を視野に入れる。
人馬一体となって、突き抜けた。5着に敗れた昨年に続く1番人気で、青い帽子の7番枠。しかし、今年の
レガレイラの走りは全く違った。中団追走から外へ持ち出された最後の直線入り口。進路が開いた瞬間に、戸崎が全身で手綱を押す。右ステッキで増していく加速度。トップ
スピードで先に抜け出した
パラディレーヌを並ぶ間もなくかわすと、その後も脚いろは鈍らない。1馬身3/4差。格の違いを見せつけるような完勝だった。
「ギアを入れてから、ステッキを入れてから、ひとつひとつのことに反応してくれて、強さを見せられたと思います」と戸崎は満足そうに振り返る。昨年は単勝1倍台の支持を受けながらも、不利などがあり、直線で伸びを欠いて5着。木村調教師は「とにかく人気を背負っていたので、勝ち方はどうでもいい」と強い気持ちで見守った。この日は53歳の誕生日。レース直後には開口一番で「ホッとしました」。愛馬から最高のプレゼントが届いた。
木村調教師はJRA・G1・14勝目。それでも現状に満足しない。「失敗からでしか前に進めない、進化できない仕事」と口にする。この日もそうだ。返し馬も終わり、ファン
ファーレが鳴る直前。戸崎と
レガレイラは一番外のゲートの中にいた。
レガレイラにとって、直前に枠内で我慢させる練習は初めて。厩舎サイドが事前に戸崎と相談して、実行した。昨年も発馬から流れに乗れず、前走のオールカマーで勝ったとはいえ出遅れ。課題にしっかりと向き合い、常に最善の方法を追い求めてきた。
3年連続のG1勝利。今後に関して、サンデーレーシングの吉田俊介代表は「有馬記念が大目標ですので、このままいい状態でいけたらいいなと思います」と見通しを語った。昨年、3歳牝馬として64年ぶりに勝った暮れの
グランプリを連覇となれば、牝馬としては史上初だ。「これから、ますます頑張ってくれると思います。ベリベリホース!」と最大級の“賛辞”でパートナーをたたえた戸崎。50回目の女王決定戦で強さを誇示した女傑は、さらなる高みを目指していく。(山本 武志)
◆ベリベリホース(very very horse) 今年4月のドバイ・シーマクラシックを
ダノンデサイルで制し、馬上インタビューでマイクを向けられた際、戸崎がうれしさと興奮のあまりに発したコメント。SNSでトレンド入りするなど反響が大きく、自身が5月に開設したYouTubeのチャンネル名は「戸崎圭太のベリベリチャンネル」。“名言”が入ったTシャツや帽子も製作された。
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レガレイラ 父
スワーヴリチャード、母ロカ(父
ハービンジャー)。美浦・木村哲也厩舎所属の牝4歳。北海道安平町・ノーザン
ファームの生産。通算成績は11戦5勝。重賞4勝目。主な勝ち鞍は23年ホープフルS・G1、24年有馬記念・G1、25年オールカマー・G2。総獲得賞金は8億3563万7000円。馬主は(有)サンデーレーシング。