◆第50回エリザベス女王杯・G1(11月16日、京都競馬場・芝2200メートル、良)
第50回エリザベス女王杯・G1は16日、京都競馬場で行われ、1番人気の
レガレイラが差し切ってG1・3勝目を挙げた。昨年は5着に敗れた舞台で雪辱。戸崎圭太騎手(45)=美浦・田島厩舎=が馬との向き合い方の変化のきっかけとなったのは、6年前の半年にわたる長期離脱だった。西山智昭記者が名手のエピソードをつづった。
戸崎騎手は2013年にJRAに移籍後、14〜16年まで3年連続全国リーディングを獲得し、19年までは6年連続で関東のリーディング。順風満帆な騎手生活を送っていたが、転機となる出来事が起きたのが、その19年秋だった。
浦和でのJBCレディスクラシックで落馬して右肘を開放骨折。レース2日後には手術を行い成功はしたが、復帰時期は当初の予定より延びた。「思ったよりひどいケガでした。4か月ぐらいと思っていたけど、そんなに甘くなかった」。当然、焦りはあったが、半年を要した初めての長期戦線離脱はじっくり自分と向き合う時間になった。「『もっと馬を感じないといけない』と思い直す、きっかけになりました。馬がどう考えているか、どうすれば気持ちよく走ってくれるか、より繊細に考えるようになりました」と振り返る。
あのケガがあったから、今の自分がある―。戸崎は常々、思い起こす。この日の見事な
レガレイラのエスコートは、「馬優先」を体現した結果だった。(西山)