今年のチャンピオンズC・G1(12月7日、中京競馬場・ダート1800メートル)は、どんなドラマが生まれるのか。過去の名勝負は、2001年に史上初JRA芝&ダートG1制覇を成し遂げた、元祖二刀流のクロフネ(武豊騎手が騎乗)を振り返る。
日本競馬のダート戦史上に残る圧巻のパフォーマンスだった。前身のジャパンカップダート・G1時代、3コーナーで一気に仕掛けた1番人気のクロフネ(武豊)が、直線も独走。外国馬5頭を含む16頭を相手に2分5秒9のJRAレコードで史上初めて、芝と両方のG1を制覇した。
00年10月にデビュー後、NHKマイルCなどG1も含め芝で4勝、初ダート挑戦となった武蔵野Sでは2着を9馬身離す鮮烈なレコード勝利を挙げていた。
武豊とクロフネは、他馬のデッドヒートをしり目に、昨年の覇者でもある2着ウイングアローに7馬身差をつけてゴール。あきれるほどの強さだ。9万人を超えたファンは“ダートの怪物”のパフォーマンスに酔いしれた。
「今回のレースに限れば、今まで乗ったどの馬より強い」と武は言い切った。
日本競馬界に衝撃をもたらし、ジャパンCダートで世界を震え上がらせた“芦毛の怪物”クロフネは、同年の暮れに屈腱炎を発症したため、若くして種牡馬入りした。
初年度から人気を集め、芝G1で2勝を挙げた
カレンチャンを筆頭に、15、16年JBCレディスクラシック・交流G1を連覇した
ホワイトフーガ、障害G1勝ちの
アップトゥデイトなど、幅広い分野で活躍馬を輩出。現役時代に芝&ダートの二刀流で活躍した血統は、
オールラウンダーとして高く評価された。
18年に種牡馬を引退。功労馬として余生を過ごしていたが、21年1月17日、けい養先の社台スタリオン
ステーション(北海道安平町)で老衰のため23歳で息を引き取った。