国分優作騎手が跨って北九州記念の最終追い切りを行ったサカジロロイヤル(撮影:井内利彰)
久しぶりにしっかりとした雨が降った栗東。17日の夜、そして19日の夜から20日にかけては土砂降りといってよいくらいの雨量で、運動場には大きな水たまりができるくらい。この影響を受けて、ウッドチップ馬場は走りにくくなると思われたが、実際には速い時計が出ており、むしろチップが締まって走りやすいくらいなのかも知れない。
気温に関しては、朝晩が特に涼しい。日中、日が昇ると気温も上昇するが、それでもひと頃の暑さではない感じ。これから徐々に涼しくなっていくようであれば、競走馬にとっても、馬に携わる人にとっても過ごしやすい環境となるだろう。
【坂路/4F51.9秒】
19日。一番時計は4F50.1秒のオンザロックス(栗東・森秀行厩舎)。2歳新馬だから、この数字がこのクラスで図抜けていることは間違いないが、4F50秒台が他に4頭いたことを考えると、走りやすい馬場ということだろう。
また、ラスト1Fにしても時計が出ている。1F11.9秒以下が11頭というのは非常に多い。加えて、2F目に13秒を切るラップを踏んでいる馬も多く、それらが3F目、4F目も減速しないでゴールに入っているので、全体時計が速くなっているという時計の出方ではある。前半から飛ばしても、後半止まらない馬場ということもあり、2F25秒を切る馬も続出しているのはもちろん、2F24秒を切る馬も出た。2F23.7秒のベルカント(栗東・角田晃一厩舎)、2F23.9秒がマヤノリュウジン(栗東・庄野靖志厩舎)とエイシンゴージャス(栗東・大久保龍志厩舎)だったが、すべて今週の1200mのオープンクラスに出走する馬。やはりスピード上位の脚力が別格だということだろう。
20日。かなりの雨だったが、追い切り頭数自体が少ないということもあり、極端に馬場が荒れるということがなかった。1回目のハロー明けの時間帯に追い切られたのが、北九州記念に出走を予定しているサカジロロイヤル(栗東・湯窪幸雄厩舎)。国分優作騎手が跨っていたが、1秒以上前方に同厩マルイチワンダーを見るような形。徐々にその差が詰まっていくも、最後まで追い抜く意思のないような追い切り。ゴール前でも余力十分だったが、4F53.6〜3F38.8〜2F24.7〜1F12.2秒と時計は速い。近走成績こそ冴えないが、この追い切り自体は3走前1着時と似ているだけに評価したいところ。
先週の馬場差が「±0.0秒」。乾燥しすぎていたウッドチップに適度な水分が入って、ちょうど走りやすい馬場。基準時計よりも速い馬場差を記録してもよいところだが、全体的な時計のバランスから、今週の馬場差も『±0.0秒』で記録している。
【CW/5F66.5秒】
ウッドチップの取替工事が迫っているということもあるのだろうか、坂路に比べると少し時計を要している印象がある。とはいっても、基準時計よりも遅い馬場というわけではないし、速い5F時計がなかっただけで、4F51秒台は続出しているので、馬場差自体は先週より少し重くする程度で大丈夫だろう。
19日に絶品の動きを見せたのが、サラトガスピリット(栗東・友道康夫厩舎)。同厩ジュンスパーヒカルを追走する内容だったが、一杯になる相手に簡単に追いつくと、最後まで持ったままの手応えで同入。6F79.1〜5F65.0〜4F51.1〜3F37.5〜1F12.4秒という時計は速く、現在は500万下の身だが、これからはノンストップでオープンまで上がっていく可能性も十分にある。
先週の馬場差が「-1.0秒」。今週は19日、20日とも『-0.8秒』で記録。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
芝馬場は19日こそ、追い切りは1頭しか確認できなかったが、調教時間中も雨が降っていた20日は利用頭数が増加。3頭併せを行った大久保龍志厩舎だったが、最後方から追走したアサクサティアラは6F77.0〜5F62.7〜4F49.5〜3F36.6〜1F11.4秒を馬なりでマークしており、走りにくい印象はなかった。よって今週も先週と同じ『±0.0秒』の馬場差で記録している。
ポリトラック馬場も19日は少なく、20日は増加傾向。別ニュースでお伝えしたルグランフリソンのように、追い切り場所の変更でポリトラックを利用した馬も多かった。時計の出方に関しては通常通り。よって馬場差は、19日、20日とも『-1.0秒』で記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。(取材・写真:井内利彰)