緩やかな右カーブを抜けて栗東坂路の頂を臨む。
タッチングスピーチは促されずとも自ら重心を沈めた。鞍上のルメールの手も動き出すが、むしろ首に添えて連動しているに過ぎない。行く気に任せて自然な加速。併走する
サンライズアルブル(4歳500万下)に合わせるようにしばらく並んでいたが、ゴールが近づけば前進気勢ももう一段強くなる。強力な後肢のバネで、もう1つギアを上げると、最後は2馬身突き放した。
4F53秒6-39秒3-12秒9。鞍上の手に残った感触は心地良かった。「コンディションはエクセレント。彼女が自分のタイミングで
アクセルを踏んで行ったし、上がってからすぐに息も入って疲れたような様子もない。ローズSと同じくらいの状態で出られそうだね」。カメラに囲まれた共同インタビューでは笑顔いっぱいに答えた。
普段はあまり表情を変えない石坂師も、この日ばかりは違った。「単走でもいい仕上がりだが、気合が入るように併せた。すぐに息が入って
リラックスしていたようだし、前走と同じような状態で出せます」と柔和な表情を見せた。
オークス馬をねじ伏せ、大外一気に突き抜けたローズS。その内容に陣営は大いに自信を深めた。ルメールが「オークス馬に勝ったのは彼女には良かったこと。
ミッキークイーンは
スピードもスタミナも兼ね備えた特別な牝馬だよ」と話せば、トレーナーも「夏を境に強くなっているとは思ったが、思った以上に強くなってくれていた」と自信を隠さない。
トライアルでつくった新たな序列。本番でも譲れない。
関東馬
ディープジュエリーは、栗東CWで同じく秋華賞に出走する僚馬
ホワイトエレガンスと併せ馬。6F81秒9-38秒0-12秒3のタイムで3馬身追走から併入に持ち込んだ。実績から栗東滞在での調整ノウハウには定評ある国枝師は「追っかけて行ったし、相手が動き過ぎた分もある。体はシャープになっているし、こちらに来てからも
リラックスしている。しまいを生かす競馬で」と不敵な笑みを浮かべた。