「武蔵野S・G3」(12日、東京)
ラスト400メートル。追いかけてくる馬はいない。もうセーフティーリードだ。
タガノトネールの田辺は早くも勝利を確信していた。
ゴールドドリームが懸命に詰め寄って来るが、これを楽に振り切り、1分33秒8のコースレコードでJRA重賞初制覇を決めた。
朝まで降り続いていた雨が
プロデュースした高速ダート。鞍上はそれを100%味方につけた。2番手から4角手前で
アクセルを踏んで加速。直線へ向いて一気に差を広げた。コース改修前、クロフネが記録した1分33秒3(01年武蔵野S)は別次元だが、この時計で走られたらぐうの音も出ない。
1月の根岸S4着以来2度目のコンビ。その時の感触を忘れず、長所を最大限に生かし切った田辺。「上がりは切れない馬。待ち過ぎると良くないから、直線に向く手前で動いた。マイルがいいし、時計が出やすい馬場とはいえ、レコードは立派ですね」と相棒の力走をたたえた。
昨年は
ノンコノユメに鼻差2着と涙をのんだ。鮮やかにリベンジを果たし、次への期待を抱かせたパフォーマンス。鮫島師は「この時季がいい。大跳びで不器用だが、
スピードがある。(優先出走権を獲得した)チャンピオンズC(12月4日・中京)を使うかは様子を見て」と慎重だが、勢いに乗った今、チャレンジしかないだろう。