最終追い切りに注目してみたいシエラネバダ(写真中央、撮影:井内利彰)
今週は夏の阪神開催最終週の新馬戦。ここに組まれている芝1800mは、勝った馬はもちろん、出走馬ということでもG1ホースが続々と出ている出世レース。勝ち馬では2007年アーネストリーが宝塚記念、2008年ロジユニヴァースが日本ダービーを制している。
出走馬という意味では、2007年2着トールポピーはオークス、同年8着キャプテントゥーレが皐月賞。2009年6着エイシンフラッシュは日本ダービーを制しており、勝ち馬だけでなく、出走してきた馬の今後も気になる注目度の高いレースといってよいだろう。
【6月24日(土) 阪神芝1200m】
◆イイコトズクシ(牡、父キンシャサノキセキ、母モットヒカリヲ、栗東・音無秀孝厩舎)
半兄に2005年ニュージーランドT2着のイヤダイヤダ(父サニーブライアン)がいて、叔母には2002年新潟2歳Sを勝ったワナがいる血統。どちらも小田切有一氏が所有し、音無秀孝厩舎で管理された馬。このコンビにとってゆかりのある血統といってよいだろう。
5月31日にゲート試験に合格してから、栗東坂路での追い切りを行っているが、その動きは週を追うごとに良くなっている。6月7日は4F54.0秒をマークして、クリソライトとの併せ馬に先着。6月14日は時計を詰めて、4F53.4秒で併せたアロマドゥルセと同入。注目すべきはラップの踏み方で、14日は4F目が最速になるラップだった。これまで音無秀孝調教師に取材したきょうだいの中では最も感触の良い馬なので、初戦から注目してよいだろう。
【6月25日(日) 阪神芝1800m】
◆シエラネバダ(牡、父ディープインパクト、母ミスパスカリ、栗東・音無秀孝厩舎)
2016年スプリングSを勝ったマウントロブソン、芝で2勝を挙げている現3歳のポポカテペトルは全兄。だが、この馬も含めて3頭はそれぞれタイプが違うようで、ポポカテペトルを管理する友道康夫調教師いわく「3頭の中ではマウントロブソンが一番コンパクトで、ポポカテペトルが大型。ちょうどのその中間くらいに見えるのがシエラネバダ」とのこと。
6月7日時点での追い切りでは「少しズブいところがあるかも知れないので、これからしっかりと追って仕上げていきたい」と話していた音無秀孝調教師。6月14日の坂路追い切りでは、先週デビューしたビッグボスと併せて遅れる動き。ただ時計は4F52.1秒と速く、このひと追いでぐんと良くなってくる可能性は大。今週の最終追い切りに注目してみたい。鞍上はM.デムーロ騎手が予定されている。
◆シュバルツボンバー(牡、父ディープブリランテ、母ショアー、栗東・須貝尚介厩舎)
2015年セレクトセール当歳にて、3700万円で落札された馬。ディープインパクト産駒の半兄エックスマークは芝で5勝を挙げている。本馬は4月26日に栗東へ入厩しており、乗り込み量は十分すぎるくらい。須貝尚介調教師が阪神開催の開幕週に使うことも検討したくらい、順調に調教は進んでいる。
実際、開幕週の芝1600mでデビューして3着だったディバインブリーズと5月28日に栗東坂路で併せて追走先着。それ以降もCWコースでしっかり動けており、調教内容としての不安点はない。あとは実戦にいっても、追い切り通りに動くことができるかどうか。なお鞍上は福永祐一騎手。
【6月25日(日) 函館芝1200m】
◆デルマキセキ(牡、父Scat Daddy、母Tashawak、栗東・友道康夫厩舎)
日本で活躍するScat Daddy産駒には、ダート短距離で4勝を挙げているゴルゴバローズや同厩舎で管理されている時に芝で2勝を挙げたマディディがいる。本馬は5月12日に吉澤ステーブルWESTから栗東へ入厩している。その後、函館競馬場へ移動しているが友道康夫調教師が「いいですね」と感触を得たのは5月25日のCWコースでの追い切り。一発の追い切りにも関わらず、しっかり時計を出すことができ、手応え十分に北上した。
函館競馬場へ移動してからも動きは順調な様子。6月15日の函館Wではレースでも騎乗予定の藤岡康太騎手が跨って、ラスト1Fを伸ばして動いており、出走態勢は整っている。
(取材・写真:井内利彰)