昨年の4回阪神開催3週目に行われた新馬戦、芝1800mに出走していたのがアドミラブル(栗東・音無秀孝厩舎)。今年の日本ダービーで1番人気に推された馬だが、デビュー戦は見せ場もない9着だった。

　これはノド鳴りが影響していたもので、手術した6ヶ月後の未勝利戦では衝撃的な勝ち方を見せている。先週の阪神芝1600m(牝)にはセール高額馬や良血馬がたくさん出走していたが、軒並み凡戦。しかし、この時期にデビューできたことが来春へつながる可能性もあるだけに、やはり今出走してくる新馬は長い目でチェックしていく必要があるだろう。

【9月23日(土)　阪神芝1200m】

◆メジャーレート(牡、父ダイワメジャー、母スルーレート、栗東・斉藤崇史厩舎)

　ゼンノロブロイ産駒の半姉ハイアーレートは芝1勝、ダート2勝だが、その距離はいずれも1800m。スペシャルウィーク産駒の半姉ビットレートは芝1200mと芝1400mで計2勝を挙げている。短距離に適性があるか、中長距離に適性があるかは血統ではなく、個体によって差があるのかも知れない。

　ダイワメジャー産駒の本馬は、追い切りの動きを見ているかぎり、一所懸命走る姿に短い距離への適性を感じる。それを実感した9月13日のCWでの追い切り。レースでも騎乗予定の川田将雅騎手が跨って、古馬ノーブルソニックを追走。道中から速いラップを刻んだこともあり、最後の直線では遅れるだろうというところで、追われてから渋太く伸びて、最後は先着のゴール。6F80.3秒は非常に優秀な時計だし、単なるスピード馬のスプリンターというタイプではないところが魅力ではないだろうか。

【9月24日(日)　阪神芝2000m】

◆エタリオウ(牡、父ステイゴールド、母ホットチャチャ、栗東・友道康夫厩舎)

　母は北米で6勝を挙げており、本馬は2016年セレクトセール1歳にて、8700万円で落札されている。夏に函館競馬場でゲート試験に合格して一旦放牧。8月11日にノーザンF天栄から栗東へ入厩した。

　追い切り本数は十分すぎるくらいにこなしており、9月14日はDコース芝馬場での3頭併せ。前に2頭の新馬を見ながら、それを追走して、最後の直線は内から並びかけていく形。大外にいたアドマイヤキングの手応えがよく、それには見劣る形となったが、追いかけたことも考慮すればまずまずの動き。馬体を見ていると、スッキリと仕上がっており、初戦から結果が欲しいタイプではないだろうか。鞍上は9月14日の追い切りにも騎乗した福永祐一騎手が予定されている。

◆レッドエクシード(牡、父ディープインパクト、母セレブレイションキャット、栗東・松永幹夫厩舎)

　母系には1400m以下の距離で4勝を挙げたジェネシスロック(父アグネスタキオン)がいる血統だが、父と母父の配合では2013年日本ダービーを優勝したキズナなどG1ホースが数多く出ている。

　本馬は7月26日にグリーンウッドから栗東へ入厩。8月9日にはゲート試験に合格し、その後は栗東坂路とCWコースを併用して入念に追い切りを消化してきた。レースでも騎乗予定の浜中俊騎手が跨った9月14日の追い切りでは古馬フォースフィールドを追走して、最後は5馬身近く突き放しての先着ゴール。6F83.9秒はごく水準的な時計だが、1F11.8秒の伸びは秀逸。ここまで丁寧に調教を消化してきているだけに、初戦からきっちりと出走態勢が整ったという感じがする。

【9月24日(日)　阪神ダート1400m】

◆エンジェルウィング(牡、父ヘニーヒューズ、母レースウィング、栗東・牧田和弥厩舎)

　母系に2005年天皇賞(春)を優勝したスズカマンボ(父サンデーサイレンス)や今年の関東オークスを優勝したクイーンマンボ(父マンハッタンカフェ)がいる血統。本馬は4月に栗東へ入厩して、5月3日にはゲート試験に合格。その後は短期放牧を挟んで、栗東へ再入厩して順調に追い切りを消化していたが、脚を捻ったということで、大事をとって休養。8月30日にノーザンFしがらきから戻ってきた。

　栗東坂路での追い切り時計は目立った数字は出ていない。ただ、徐々に終い重点の動きがしっかりとしてきており、ようやく態勢が整ってきたといった感じがする。4月時点から雰囲気のある馬だっただけに、現状の仕上がりでもそれなりの結果を見せてほしいところ。

(取材・写真:井内利彰)