地味ではあるが調教量はしっかりこなしているピボットポイント(写真左、撮影:井内利彰)
2015年4回京都5日目の芝1800mでデビューしたのが、後の日本ダービーを勝つマカヒキ。単勝1.6倍という絶対的な人気に応えての勝利だった。その翌年、同じ5日目の芝1800mも単勝1.8倍の支持を受けたブエナビスタの初仔、コロナシオンがデビュー勝ちを決めている。
ここで調べてみたのが、メイクデビューで単勝2倍以下の人気を集めた馬の成績。過去3年の4回5回京都開催芝1800m、芝2000mで単勝2倍以下の成績を調べると、11頭の該当馬がいて5勝。勝率にすると45.5%。この数字を高いか低いか判断するのに最適なのが、2歳未勝利戦の単勝2倍以下。同期間同条件で検証すると、該当馬は17頭いて、11勝の勝率64.7%。いかに新馬戦での単勝オッズが過剰人気になりやすいかということだろう。
【10月15日(日) 京都芝1800m】
◆ピボットポイント(牡、父ディープインパクト、母ペンカナプリンセス、栗東・友道康夫厩舎)
ワグネリアンを筆頭に、アドマイヤキングや先週のジュンヴァルロなど、今年も順当に新馬勝ち決めている友道康夫厩舎の2歳新馬。本馬は菊花賞に出走予定のトリコロールブルーの半弟ということもあり、POG取材時にも友道康夫調教師がかなり力の入ったコメントをしていた馬。それだけにファンの注目度が高いが、栗東での追い切りの動きに関しては地味という言葉を使っても語弊はないはず。
6月に函館競馬場でゲート試験に合格した後、牧場で調教を積み、8月26日にノーザンF天栄から栗東へ入厩。9月に入ってから本格的な追い切りを開始しているが、CWコースで目立って速い時計を出した追い切りはない。10月5日にレースでも騎乗予定のC.ルメール騎手が跨ってのCWでの併せ馬も新馬相手に同入。6F86.7秒、1F12.5秒もあまり手応えに余裕がなかったことを思うと物足りない動き。ただ、中間の追い切り本数は栗東坂路も併用して、調教量はしっかりこなしている点は強調できる。
◆アプルーヴァル(牡、父オルフェーヴル、母ファシネイション、栗東・音無秀孝厩舎)
母系にはリンカーン、アドミラブル、ヴィクトリーといった重賞ウイナーが名を連ねる良血。しかもこれらの馬はすべて音無秀孝厩舎で管理されており、厩舎ゆかりの血統。父は今年が初年度産駒となるオルフェーヴルだが、すでにロックディスタウンが札幌2歳Sを勝っている。
9月28日にレースでも騎乗予定の横山典弘騎手が騎乗して坂路での追い切り。古馬レッドアヴァンセを相手に同入して、4F52.5秒と速い時計をマーク。10月4日の坂路では古馬レッドラウダと併せて遅れてしまったが、相手は栗東でもトップクラスの攻め巧者。新馬としては、すでに水準以上の動きを見せているのは間違いない。
【10月15日(土) 京都ダート1800m】
◆グレートタイム(牡、父キングカメハメハ、母ミラクルレジェンド、栗東・藤原英昭厩舎)
母は藤原英昭厩舎で管理され、JBCレディスクラシックを連覇するなど、ダート重賞で8勝を挙げている。その初仔、コンプリートベスト(父エンパイアメーカー)は京都ダート1800mの未勝利戦を勝ち上がり、現在は500万下クラスに在籍している。
本馬は2016年セレクトセール1歳にて、1億4000万円で落札されている。9月下旬から本格的な追い切りを始めているが、9月27日の坂路では4F53.3秒、1F12.6秒をマーク。10月5日のCWコースでは古馬パフォーマプロミスと併せて同入。全体時計はさほど速くなかったが、終いが11.8秒としっかり伸びていた。
◆ラセット(牡、父モンテロッソ、母ナンヨーサフラウア、栗東・庄野靖志厩舎)
母系には芝で8勝を挙げたフィールドベアー(父フジキセキ)がいる血統で、本馬は2017年北海道トレーニングセールにて、1400万円で落札されている。庄野靖志調教師は「十分に乗り込みましたし、追い切りでの動きも良好。初戦から動けると思います」と手応え十分。
10月4日のCWコースでは古馬ボナパルトと併せて、先行して先着。時計は6F83.8秒と全体時計がまずまずに対して、終いが1F12.1秒。これだけ動くことができれば十分だろう。トラック馬場だけでなく、坂路馬場も併用している仕上げなので、流れに乗っていくスピードも十分に兼ね備えているのではないだろうか。鞍上は藤岡佑介騎手で予定されている。
(取材・写真:井内利彰)