以前は菊花賞当日に行われていた京都芝1800mのメイクデビューが「伝説の新馬戦」と言われていたが、2014年以降は京都芝2000mで行われている。ちなみに2015年の勝ち馬ドレッドノータスはその後に京都2歳Sを制し、翌年は皐月賞に出走した。

　2016年の勝ち馬ベストアプローチは翌年に青葉賞2着から日本ダービーへ出走。やはり3歳クラシック路線に乗ってくる馬が出走しているといってもよい。しかし、2014年に3着だったウインガニオンが古馬になってから中京記念を制するといった例もあり、素質の高い馬が出走してくるレースだと思ってよいだろう。

【10月21日(土)　京都芝1400m(牝)】

◆グリエルマ(牝、父ロードカナロア、母アズマサンダース、栗東・矢作芳人厩舎)

　母はダンスインザムードが勝った桜花賞で2着するなど、早い時期から活躍し、古馬になってから京都牝馬Sで重賞制覇。息の長い活躍を見せたが、その仔は勝ち上がることも難しい状況となっていて、JRAの競走ではダノンビーナス(父キングカメハメハ)が新馬勝ちで1勝を挙げているだけ。

　しかし本馬はちょっと違う印象を受ける。その理由が10月12日のCWでの追い切り。古馬モズライジンを3馬身ほど後ろから追いかける内容だったが、相手がバテたこともあって、最後は楽々と大差の先着。10月5日のCWでも新馬相手に併せ馬で先着しており、トラック馬場でこれだけ動くことができれば、当然実戦での走りも期待したくなる。

【10月21日(土)　京都芝1600m】

◆カツジ(牡、父ディープインパクト、母メリッサ、栗東・池添兼雄厩舎)

　全兄に先週の新潟芝1800mを勝って、3勝目を挙げたミッキーグローリーがおり、母は現役時代に2010年北九州記念を勝っている。母に短距離実績があっても、ディープインパクト産駒なのでミッキーグローリーのような中距離でも結果を出しても不思議ではないが、本馬に関しては、母譲りの快速が特徴的。

　9月27日のCW追い切りが初見だったが、新馬を2秒近く後方から追走して、最後は楽々と先着。この時点でスピードの絶対値が新馬としてトップクラスであることは感じたが、もっと驚いたのは10月4日のCW。攻め駆けするアガスティアを追走して、最後は4馬身ほど先着。時計も6F80.7秒と素晴らしく速い。しかも目一杯という感じではなく、まだまだ余裕がありそうだった。

　ただ、テンからスピードを持続して走るようなタイプだけに、距離が延びてパフォーマンスを上げるタイプではなさそう。10月12日はゲートからスタートを確かめるような追い切りだったが、ここでもセンスを感じさせる走り。あとはレースでどんな走りを見せてくれるか。鞍上は松山弘平騎手が予定されている。

【10月22日(日)　京都芝2000m】

◆グレイル(牡、父ハーツクライ、母プラチナチャリス、栗東・野中賢二厩舎)

　野中賢二調教師は「ハーツクライ産駒らしくまだ緩くて、完成するのはもっと先だと思う」という素質馬だが、追い切りの動きを見ていると、現状でも新馬としてトップレベルの動きを見せている。

　10月5日のCWでは古馬500万下のアンセムを1秒以上追走して、最後はしっかりと追いついてきた。そのラスト1Fが12.0秒だったので、ひとまず動くよなという印象。そして、レースでも騎乗予定の武豊騎手が跨った10月12日のCW追い切りはアンセムを追いかけて、後ろからはクインズサターンが追いかけてくる3頭併せ。最後の直線は真ん中だったが、そこで半馬身ほど前に出て最先着。時計は6F82.9秒、1F12.0秒と動いている。新馬としては、これで十分。あとは実戦でのパフォーマンスに期待したい。

【10月21日(土)　東京芝1600m】

◆マルケッサ(牝、父オルフェーヴル、母マルペンサ、栗東・池江泰寿厩舎)

　半兄は菊花賞、有馬記念を制し、今秋は凱旋門賞に挑戦したサトノダイヤモンド(父ディープインパクト)。父は替わったが、オルフェーヴルは現役時代に池江泰寿厩舎で管理された名馬。厩舎にゆかりある血統だけに、こういった馬が活躍してくれることで、また盛り上がりが出てくる。

　ただ中間の調教内容を見ていると、さほど派手さがないというのが正直なところ。10月5日のCWでは古馬500万下と併せて同入。時計も6F84.8秒と目立って速い数字ではなく、むしろ遅いくらい。これでも実戦に行けば、しっかり走れるタイプなのかも知れないが、調教を見ているかぎりはまずは静観といった感じ。鞍上はC.ルメール騎手が予定されている。

(取材・写真：井内利彰)