明日の予想雨量を考えれば、日曜1R時点で重か不良か
毎週欠かさず馬場に関する情報を収集し、自身の予想に反映させるというスポーツニッポンの“万哲”こと小田哲也記者が、“予想に役立つ馬場情報”をコンセプトに、重賞が開催されるコースについて、当週の降水量・前日のレース結果等を踏まえた主観的意見から、よりライブな馬場状態を解説する。
【天皇賞・秋(東京芝の傾向)】
秋のGI戦線は、まさに雨との格闘になっている。土曜レース終了段階でこの稿を書いているが、天皇賞・秋発走時点(午後3時40分)の状況は極めて読みにくい難題となった。ちなみに土曜の東京は当初の予報ほど雨が降らず、本格的に降り出したのは午後2時30分前。芝は終日、良馬場で施行。土曜午後5時30分時点のJRA発表は「天候は雨、芝=良、ダート=稍重」。
芝は今週から内3m地点に内柵を設置したBコース(先週までAコース)を使用。1.内寄りの大きな傷みは内柵でカバーできた。2.ただ豪雨の影響を受けた先週日曜は各馬が内寄りを避け、各馬が通った中〜外寄りの芝が傷んだ。
この2点の影響で土曜に限れば、内を通る先行馬(といってもラチ沿いは走っていないが…)が結構粘っていた。9R・国立特別を勝ったティソーナは完全な逃げ切り勝ち。メイン11R・アルテミスSは13番人気の超伏兵サヤカチャンが逃げて2着に粘った。レース前半3F35秒4、同後半3F35秒1と極端なスローペースではなく、展開に恵まれた訳でもない。先週の競馬で各馬が通った中〜外が傷んだ影響が残った形だ。
問題は日曜の馬場の推移。予想雨量を考えれば、日曜1R時点で重か不良か。最終的に「不良」は避けられない。ただ、天皇賞を考える上での重要なポイントは表示上の馬場状態以上に「内寄りを通れる馬場状況か?」「中〜外を通っても伸びる馬場か?」ということだろう。
実は先週の菊花賞の稿では、土曜段階ではまだ内寄りを通る馬の粘りが利いたが、芝の内寄りは日曜のレース中にさらに悪化が進むだけに「中〜外から差す馬が出てくるかもしれない」と指摘した。結果的に外進出で優勝したキセキは、コース悪化に対応したM.デムーロの好判断だったともいえる。
菊花賞や先週日曜の東京並みに、各馬が内を避けて通る状況になってしまうと「内寄りの中団〜後方に押し込められた馬」は苦しくなる。逆に意外にも雨量が少なく(予報上の可能性は薄い)、内粘りが依然として利く可能性もわずかに残る。天皇賞の2つ前の9Rに同じ2000m戦の精進湖特別が組まれているので、ここである程度コースの傾向をつかみたいところだ。