先行有利の小回りの競馬場だけに、今年も先行できる脚質の馬が狙い目となる(写真:高橋正和)
エンプレス杯は、秋〜冬の牝馬ダートグレート最終戦。ホワイトフーガやララベルといった、この路線を牽引してきた実績馬が続々と引退し、現在は世代交代の真っ最中。今年は新女王の座をめぐる戦いとなる。
舞台となる川崎コース2100mはレースの駆け引きだけでなくスタミナも要求されるが、スローペースになりやすいことから先行馬が有利という傾向がある。近年の優勝馬は先行馬が続き、第59回ミラクルレジェンド、第57回のラヴェリータは好位から差しているが、このときも2着には逃げ馬が粘っている。
昨年、初の重賞挑戦だったTCK女王盃からエンプレス杯と連勝して華々しく新星誕生を宣言したワンミリオンス。その後は捻挫などのアクシデントもあり、マリーンC(6着)、JBCレディスクラシック(4着)と不本意な結果が続いている。川崎2100mへの適性とレースセンスは備えており、56キロを背負っても体調さえ整えば女王の座へと返り咲くチャンスは十分ありと見ている。
ミッシングリンクは、雪の影響で最悪の馬場コンディションのなか、見事にTCK女王盃を優勝。ダート転向3戦目で一躍、スターダムにのしあがった。逃げにはこだわらず、前を見ながらのレースもでき、初めての川崎コースや2100mの距離克服がカギとなる。
プリンシアコメータは大井コースでJBCレディスクラシック、TCK女王盃を逃しているが、東京コースの距離2100mでの好走が光り、左回りならクイーン賞の再現もありうる。岩田騎手の手綱で2戦2勝と相性も抜群だ。
第53回のトーセンジョウオー以来、優勝馬はすべてJRA馬だが、川崎2100mで実績のある大井のステップオブダンスや、切れ脚武器にダートグレードでも善戦するラインハートがどこまで食い込めるか。(取材・文=「競馬ブック」記者・中川明美)
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