追われてからの伸びもしっかりしてきたアドマイヤジャスタ(写真奥、撮影:井内利彰)
今週の目玉番組はなんといっても阪神芝1800m。昨年はここでデビュー勝ちを飾ったダノンプレミアム(栗東・中内田充正厩舎)が暮れの朝日杯FSも勝ち、最優秀2歳牡馬に選ばれている。
今年の出走予定馬はセレクトセールの高額取引馬や新種牡馬ジャスタウェイの産駒、兄に重賞勝ち馬がいる良血馬など注目すべきプロフィール十分といったメンバー。来年の今頃にも前記したフレーズを使えるような勝ち馬が出ることを期待したい。
【6月23日(土) 阪神芝1200m】
◆リップグロス(牝、父ハーツクライ、母レディルージュ、栗東・安田隆行厩舎)
母は現役時代に安田隆行厩舎で管理されて、芝で2勝、ダートで3勝を挙げた二刀流。オープン勝ちは京都ダート1200mだが、2009年京阪杯2着と芝重賞でも好走しているだけに、短い距離なら芝もダートも問わない活躍を見せた。ちなみにロードカナロア産駒の半兄ロードラズライトは芝1400mで勝ち上がっている。
ここまでの調整過程で目立った時計は出ていなかったし、6月6日の坂路でも併せ馬で遅れ。調教内容から強調するところはなかったが、その印象を一変させたのは6月13日のCW。レースで騎乗予定の和田竜二騎手が跨って、サンサルドスとの併せ馬だったが、内から追走して先着。全体時計はさほど速くなかったが、3F38.0秒、1F12.0秒は優秀な数字。このひと追いで気持ちも乗ってくるだろうし、最終追い切りはある程度の時計で動けそうだ。
【6月24日(日) 阪神芝1800m】
◆ホウオウライジン(牡、父キングカメハメハ、母ガールオンファイア、栗東・矢作芳人厩舎)
母系にレイデオロ、ディープインパクトといったダービー馬がいる血統。2017年セレクトセール1歳では、1億8000万円という高額で取引された馬で「見映えする馬っぷり」と矢作芳人調教師。
6月になってから坂路で15-15を開始し、本格的な追い切りは6月10日から。13日のCWではレースでも騎乗予定のM.デムーロ騎手が跨って、メテオスウォームとの併せ馬だったが、手応え的には見劣っていた。このあたりは調教量の問題かなと思うが、12日に同師にデビュー予定を聞いた時「デビューまでの調教量は少ないかも知れないけど、期待の大きな馬だから、逆にこのくらいの仕上げで勝ち負けしてくれないことには」とコメントしており、同師としては想定の範囲だったかも知れない。とはいっても、最終追い切りでどんな動きを見せるかは注目だろう。
◆アドマイヤジャスタ(牡、父ジャスタウェイ、母アドマイヤテレサ、栗東・須貝尚介厩舎)
ジャスタウェイは現役時代に須貝尚介厩舎で管理されてドバイデューティフリーなど国内外のG1を3勝。すでに新馬勝ちを送り出している新種牡馬だが、やはり同厩舎の産駒には注目したいところ。もちろん、2016年セレクトセール当歳で1億4000万円の高額取引馬だったり、アドマイヤラクティ(父ハーツクライ)の半弟だったりと注目すべきプロフィールが満載。
ゲート試験に合格した後、一旦放牧へ出されて、それから時計を出すという調整。6月6日のCWではレースで騎乗予定のC.ルメール騎手が跨って、併せ馬で同入。時計が遅かったこともあり、こんなものかなといった印象だったが、13日のCWでは時計も速くなり、追われてからの伸びもしっかりしてきた。やるたびに良くなっている印象があるだけに、最終追い切りはもっと動けるだろう。あとは実戦でどんなものか。
◆ウインフルスター(牡、父トーセンホマレボシ、母ハナノメガミ、栗東・宮本博厩舎)
半兄が同厩舎で管理され、2013年朝日杯FS3着、2015年京都金杯で重賞制覇という実績を残したウインフルブルーム(父スペシャルウィーク)がいる。宮本博調教師には入厩する前に話を聞いていて「デビュー戦が決まっているので、それを逆算して、じっくりと調整できるようにオーナーサイドにお願いして入厩予定を立てました」ということだった。
ゲート試験合格後も順調で、坂路で時計を出しながら、CWでも時計を出すという併用調教。6月13日のCWでは全体時計が遅く、少し地味な追い切りに映ったが、6Fから時計を出したのが初めてだったことを思えばこんなものだろう。ただ、もっと良くなる余地がありそうな馬だけに、あと1本でどこまで動ける状態になるのか。そこも含めて注目のレースとなる。なお、鞍上は和田竜二騎手が予定されている。
(取材・文:井内利彰)