昨年の3回中京開催で行われた芝2000mのメイクデビューを勝ったのが、今年のダービー馬
ワグネリアン。
ヘンリーバローズとの激戦をハナ差制しているが、3着には5馬身の差をつけている。
 今年は芝2000mが一鞍増えたため、昨年よりも1週早い施行。今年の注目はなんといってもセレクトセールにて高額で取引(価格は税込)された2頭の対決。2億7000万円の
ダノンチェイサー(牡、父ディープインパクト、母サミター、栗東・池江泰寿厩舎)と2億4840万円の
トーセンカンビーナ(牡、父ディープインパクト、母カンビーナ、栗東・角居勝彦厩舎)だが、ここに話題の良血や追い切りで動きが目立っている馬が加わって、どんなレースを見せてくれるか楽しみなところ。
【7月7日(土) 中京芝1400m】
◆
アスカリ(牡、父キングカメハメハ、母フィロンルージュ、栗東・西園正都厩舎)
 冒頭にセレクトセール高額取引馬のことを記したが、こちらも税込で8856万円。それもそのはず、母系に
ヴァーミリアン、
ソリタリーキングがいる
スカーレット一族。西園正都調教師が「垢抜けした素晴らしい馬体」と語る背景には裏付けされた血統があるということだろう。
 個人的にはダート向きという印象もあったが、それを覆された6月27日の坂路での動き。4F50.8秒は
スピード能力を証明する時計だし、2F24.5秒と終いがしっかりしているところも高く評価できる。6月29日にはゲート調教も行っており、初戦に向けて態勢は万全。鞍上は松田大作騎手が予定されている。
【7月7日(土) 中京ダート1400m】
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ノーブルアーレス(牝、父ヨハネスブルグ、母グリッツェルン、栗東・宮本博厩舎)
 3回阪神開催で行われたダート1200mに出馬投票するも除外。その後はここを目標に栗東在厩で調整を続けている。母系に芝で4勝を挙げている
クラウンアイリス(父ロドリゴデトリアーノ)がいる血統で、本馬は
ブリーズアップセールにて1080万円(税込)で取引されている。
「追い切りでの時計は変わらず目立たないけど、ここまで順調に追い切りを積み重ねてきた強みはありますよ」と宮本博調教師。坂路で4F55秒を切る時計は出ていないものの、すべて馬なりだから、併せ馬で目一杯やれば時計が詰まる可能性は大。しっかり乗り込んだ効果が実戦で発揮されるかも知れない。鞍上は高倉稜騎手を予定している。
【7月8日(日) 中京芝2000m】
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ブラヴァス(牡、父キングカメハメハ、母ヴィルシーナ、栗東・友道康夫厩舎)
 ゲート試験合格後にこの番組を目標に調整することが報道されており、冒頭に記した「2億円対決」の2頭よりも先に注目を集めている。また
ヴィルシーナの初仔、武豊騎手が騎乗ということでもたびたびニュースに取り上げられている。
 調教に関しては、先週デビュー勝ちを決めた
アドマイヤマーズとともに併せ馬していたこともあり、どうしても見劣る動きが多かった。しかし6月21日のCWでは追いかけてきた相手になんとか食い下がる動きで上昇気配。27日にジョッキーが跨ったCWでの追い切りではあえて格上の
ルタンデュボヌールを追いかける内容でなんとか半馬身差まで追い詰めた。おじにあたる
シュヴァルグランが併せ馬で遅れてもレースで結果が出たように、時計さえ出ていれば問題ないというのが個人的な解釈。あとはレースでどんな走りをみせるかだけ。
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オールイズウェル(牡、父
ルーラーシップ、母ラブフール、栗東・佐々木晶三厩舎)
 2012年クイーンS2着などの実績を残した
ラブフールの二番仔。プロフィールとしては高額馬や良血馬に見劣るが、調教での動きはかなり目立っている。6月20日の坂路では4F55.0秒、1F12.3秒と終いにしっかりした動きを見せ、6月27日のCWでは6F80.6秒と速い時計をマークしている。
 担当する田重田静男厩務員は
アーネストリーや
キズナといったG1ホースを担当した経験があるが「センスがよくて、馬の雰囲気は好きなタイプ」と笑顔。もうひと追いすれば、まだ良くなる余地がありそうなだけに、最終追い切りの動きも楽しみ。鞍上は三浦皇成騎手が予定されている。
(取材・文:井内利彰)