【ジャパンC】2:22.2の衝撃 ホーリックスがオグリキャップを抑え勝利した1989年/JC名牝列伝

2018年11月19日 22:40

1着ホーリックス、2着オグリキャップ。タイムは驚異の2:22.2(撮影:高橋正和)

 今年、史上5頭目の牝馬三冠を達成したアーモンドアイがジャパンカップで四冠を狙う。今週の「名馬列伝」は『ジャパンカップ名牝列伝』と題して、牝馬のジャパンカップ優勝馬を取り上げる。今回は1989年のホーリックスをお送りする。

■ニュージーランドの牝馬が、並みいる実績馬を破る

 オセアニア勢のジャパンカップ成績は、1982年に初参戦して以来、9頭が出走し3着が最高着順だった。そんなオセアニア勢の雪辱を果たしたのが、ホーリックスである。

 1989年の出走馬は豪華な顔ぶれで、レース前から例年以上に盛り上がっていた。

 日本馬を代表するのは、平成3強とも称されたオグリキャップ、スーパークリーク、イナリワンで、スーパークリークが1番人気、オグリキャップが2番人気に支持された。それに続くのが海外勢で、3番人気が芝12Fの世界レコードを持つホークスター、4番人気が前走4連勝でドイツのGIを制したイギリスのイブンベイ。さらに、前走イタリアのGIを勝ったアサティス、前年(88年)のジャパンカップ覇者ペイザバトラー、凱旋門賞を勝ったばかりのキャロルハウスが続いた。このなかで、ホーリックスは9番人気だった。

 レースは、ホークスターの逃げ予想に反して、イブンベイがハナを主張した。ホークスターは控えて2番手、ホーリックスが3番手、そこからやや離れた内にオグリキャップ、外をスーパークリークが進む。イブンベイが飛ばし1000m通過は58.5秒、その後もハイペースのラップが刻まれていく。直線を向き、一杯になったイブンベイとホークスターに替わり、内からホーリックスが先頭に立ち抜け出す。そこへ外から南井克巳騎手(現調教師)の剛腕に導かれたオグリキャップが猛追するが、オサリバン騎手の風車ムチに応えたホーリックスも簡単には抜かせない。ほぼ並んでのゴールは、クビ差でホーリックスが制した。この激戦を目の当たりにした東京競馬場のファンは、2頭の芦毛馬に惜しみない拍手喝采を贈った。

 牝馬によるジャパンカップ制覇は第3回のスタネーラ以来3頭目。勝ちタイムの2:22.2は、日本レコードを一気に2.7秒更新する世界レコードだった。

 鞍上のオサリバン騎手はレース後に「この1戦にオセアニアの威信を懸けていた。これで負けるようなら、オセアニアの馬のレベルが下であることを我々は嫌でも認めるしかなかった。だからいま、最高の感激に浸っている。こんな感激は初めて」と喜びを語った。

 また、ホーリックスを管理するP.オサリバン調教師は、「この馬で負けるようなら、もう2度とここには来ない」とレース前にコメントし、そのための準備も怠らなかった。海外勢で最初に来日し、南半球とは真逆である日本の気候に慣れさせようと、じっくりと曳き運動を行い、日光のもとで放牧させるなど心身の調整に努めていた。

 こうしてプライドを賭けたチーム・ホーリックスの戦いは、最高の結果で幕を閉じたのである。

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