【有馬記念】4cm差の激戦を制しグラスワンダーが連覇達成/平成有馬記念列伝(1999年)

2018年12月20日 10:40

有馬記念史に残る名勝負となった平成11年(撮影:下野雄規)

 天皇賞・春、天皇賞・秋、ジャパンカップに続く、この年のGI・4勝目を目指すスペシャルウィークと、そのスペシャルウィークを宝塚記念で圧倒したグラスワンダー。2頭にとって二度目の対決は、スペシャルウィークがこのレースでの引退を表明していたため、最後の対決でもあった。

 ハナを切ったゴーイングスズカは、13秒台のラップが並ぶ超スローペースを作り出す。ナリタトップロード、ダイワオーシュウが続き、グラスワンダーは中団やや後ろ、スペシャルウィークは最後方からレースを進めていく。

 レースは、3コーナー過ぎから動き出す。グラスワンダーが外目を回って一気にポジションを上げると、スペシャルウィークもそれに呼応するかのようにスパートを開始。この2頭が馬群を飲み込むようにして4コーナーを回っていく。

 直線では、一歩先にツルマルツヨシが抜け出しを図り、外からグラスワンダーとスペシャルウィークが追う。間を割って伸びてくるのはテイエムオペラオー。坂を上りきったあたりでグラスワンダーの手応えが怪しくなったように見えたが、迫ってきたスペシャルウィークと馬体が併せるとエンジンが再点火。もうひと伸びで内のツルマルツヨシとテイエムオペラオーをねじ伏せ、最強の2頭は馬体を併せたままゴールする。

 勝利を確信するスペシャルウィーク武豊はウィニングラン。グラスワンダー的場は苦笑いを浮かべ検量室前へと戻っていく。しかし、着順掲示板の一番上に表示されたのは7番。グラスワンダーがゴールの瞬間にハナだけ出ていた。その差は4センチ。レース後に武豊が「競馬に勝って勝負に負けたという感じ」と振り返るほどの際どい勝負であった。

 1900年代最後の有馬記念。死力を尽くした4頭によるゴール前は、紛れもなく平成の有馬記念史に残る名勝負である。

新着ニュース

ニュースを探す

ご意見・ご要望

本サービスはより高機能なサービスの提供なども検討しております。お気づきの点がございましたらお気軽に下記フォームよりご意見をお願いいたします。

  • ご意見をご記入ください。

頂いたご意見には必ずスタッフが目を通します。個々のご意見に回答できかねますことを予めご了承ください。
また、連続して複数送信されると、受付できないことがあります。予めご了承ください。