2019年7月30日、史上2頭目の無敗の三冠馬・ディープインパクトが17歳でこの世を去った。現役時代はすべての国内レースで上がり最速をマークする圧倒的な末脚を武器に通算14戦12勝という成績を残し、GI勝利は「7」を数えた。また、種牡馬としてもその強さを産駒に伝え、5頭のダービー馬をはじめ多くのGIホースの父となり、既に産駒のJRA・GI勝利数は「51」。現役時代と同様に、日本競馬界を牽引してきた。
今回はこの稀代の名馬への追悼企画として、新馬戦からラストランとなった有馬記念まで、ディープインパクトの現役時代全14戦を改めて振り返る。
■小雨の中、後輩二冠馬や英名牝に貫禄の勝利
この年の10月の凱旋門賞でディープインパクトは3位に入線。しかし、同月中旬に体内から禁止薬物が検出されたとの発表があり、翌月には失格が確定した。
そういった帰国初戦までの流れもあり、そして今回は前年に国内で唯一敗れたハーツクライとの再戦ということもあったが、それでも
ジャパンCでディープインパクトはファンに支持率61.2%の単勝1.3倍との支持を受けた。ちなみに、この「単勝1.3倍」はGI初挑戦の2005年皐月賞、古馬初対戦の2005年有馬記念と並んで、ディープインパクトの単勝が生涯でもっとも高くなった際の数字でもある。
ディープインパクトに続く2番人気はそのハーツクライ。ディープインパクトを破ったのちにドバイシーマクラシックを勝利し、イギリスのキングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドSでも3着と、本格化を迎えた中での2006年国内初戦だった。3番人気はイギリスの
ウィジャボード。英愛米香でG1競走を7勝している名牝で、鞍上は名手L.デットーリ。
ほかにも同年のクラシック二冠馬メイショウサムソン、同じくクラシックを沸かせた
ドリームパスポート、この年シンガポールでG1を勝利した
コスモバルクなど、11頭立てとはいえ好メンバーの
ジャパンCとなった。
今回のディープインパクトは11番手、つまり最後方、それも数馬身離れたシンガリからレースを進めた。
ウィジャボードがその前に位置し、もう1頭の外国馬
フリードニアがさらにその前。ハナを切ったのは
コスモバルクで、ハーツクライはこの頃にはすっかり好位からのレースが板についていた。
第3〜4コーナーでは
ウィジャボードを追いかけるように加速していったディープインパクトだったが、その勢いの差は歴然。大外を回ったにもかかわらず、直線入り口では
ウィジャボードを交わし、先行勢を射程圏内に入れた。
3歳馬
ドリームパスポートが最内でよく粘り、
ウィジャボードも再び伸びてきたが、府中の長い直線で“飛ぶ”ディープインパクトを振り切ることも、差し切ることもできず、最終的に2着
ドリームパスポートに2馬身の差をつけディープインパクトが完勝。勝ちタイムは2分25秒1。ハーツクライはノド鳴りの影響か、10着に敗れた。
これでGIタイトルは6個目。ラストランとなる有馬記念へと向かっていくのだった。
<レース映像>
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