デビュー2戦目から3連勝のバーナードループ(撮影:稲葉訓也)
兵庫チャンピオンシップの中央馬は、かつてのように1勝馬が出走することはほとんど不可能で、まれに3勝馬がいるものの、時期的に多くが2勝馬。今年も芝路線から来たヒルノマリブも含め中央5頭はいずれも2勝馬だった。
ただこの時期の2勝馬は玉石混交で、その能力差がはっきりと示されるのがこのレース。昨年のクリソベリル(5馬身差)は言うまでもなく、18年のテーオーエナジーも5馬身差、17年はタガノディグオとノーブルサターンが3/4馬身差だったが、そのうしろは3馬身、9馬身。それ以前も勝ち馬が圧勝か、1、2着は接戦でも上位がバラバラの入線が多い。
中央馬にとっては2歳時に兵庫ジュニアグランプリなどに出走していなければ、ほとんどの馬にとって初めて経験する小回りの地方コース。ここでさまざまな適性が試されることになり、それを克服した馬が強いということになる。
そして今年も能力差がはっきりと結果に現れた。人気を分け合った2頭はクビ差の接戦だったが、3着には9馬身差がついた。
中央馬ではもっとも内の4番枠に入ったマカオンブランがすんなりと先頭に立って逃げた。ダノンファラオにぴたりとつかれたが、最初のスタンド前では、鞍上の吉村智洋騎手がダノンファラオの出方をうかがいながらペースを落としたので息を入れることはできた。それでいて3コーナーで並びかけられたときに抵抗できなかったので、これは単純に能力が違った。
ダノンファラオの直後でその動きを見ていたのがバーナードループ。直線はやや馬体を離しての追い比べとなって、バーナードループがクビ差とらえたところがゴールとなった。
ダノンファラオは先頭に立った4コーナーからぴたりとラチに張り付くようなところを走っていた。京都で1勝クラスを勝ったときも直線では内ラチぴったりを走っていて、右回りだと内に刺さるかラチを頼るようなところがあり、最後に追い比べで負けたのはそのぶんだったかもしれない。
勝ったバーナードループは、3〜4コーナーの勝負どころではダノンファラオに対して分が悪いように思えたが、それは跳びが大きいためで、そのぶん直線ではしっかり伸びた。ダノンファラオとの後先は、条件や展開によって入れ替わる可能性があるわずかの差と思われる。
バーナードループは、これでデビュー2戦目から3連勝。今後は、デビュー戦で10馬身先にいたカフェファラオとの能力差をどこまで縮められるかということになるのだろう。
なお勝ちタイムの2分1秒7は、近10年で2012年のオースミイチバンと同タイムでもっとも遅かったが、園田の本馬場は今年4月にクッション砂がそれまでの青森県六ケ所村のものからオーストラリアのものに入れ替えられ、馬場の傾向も変わっているため、昨年までとのタイム差比較はあまり意味がない。
離れて3着に入ったのが3番人気のサンデーミラージュで、3着までは人気順の決着。スタートこそ互角だったものの、その後スピードに乗れず最後方に近い位置を追走。向正面からのロングスパートで3着を確保した。京都ダートの未勝利戦を勝ったときもスタートで躓いてやはり最後方を追走し、向正面で一気に好位にとりついて直線差し切った。状況に応じた競馬ができるのは、やはりダートのほうが合っているということだろう。
初ダートだったヒルノマリブは、ペースが落ち着いたこともあり前半はダノンファラオの直後をスムーズに追走しているように見えた。しかし前が徐々にペースアップした向正面からずるずると後退。血統のわりにはダートが合わなかったということか。
地元馬は菊水賞を圧勝したステラモナークが回避し、2着だったピスハンドが4着に食い込んだ。先行集団のうしろ5番手を追走し、ペースが上がったところでも無理には追いかけず自分のペースを守り、勝ち馬から2秒1差で走破タイムは2分3秒8。菊水賞の走破タイム1分51秒7との比較でも、自分の時計では走っている。
さらにガミラスジャクソンがクビ差5着で掲示板を確保。菊水賞で11着に大敗していたことを思えば好走だが、走るときと走らないときの落差が大きく、なんとも評価が難しい。ピスハンドともども、強敵相手のレースを経験したことでの上積みに期待ということになろう。