【名古屋グランプリ回顧】圧倒的な長距離適性でマスターフェンサー(斎藤修)

2020年12月11日 18:00

次走に川崎記念を予定しているマスターフェンサー(撮影:稲葉訓也)

 ダートグレード2連勝でもチャンピオンズCには向かわず、長距離のここを狙ったマスターフェンサーが存分にその適性を発揮して圧勝。ダイシンインディーがスローの逃げに持ち込んだことで、マスターフェンサーの持ち味であるロングスパートがさらに生かされることになった。

 行く気を見せたダイシンインディーがすんなりハナに立って、北海道のシンボと地元のキーグラウンドが差なく2、3番手。マスターフェンサー以下の有力馬はそのうしろで先頭からはやや離れていただけに、実際にはダイシンインディーが単騎のマイペースで逃げられた状態に近い。中央の有力馬は、当然マスターフェンサーをマークしてということになる。

 2周目向正面の残り700mのあたり、シンボの手応えが一杯になったところで、そのうしろにいたマスターフェンサーが外に持ち出してスパートをかけた。ロードゴラッソは仕掛けを待ったようだが、マスターフェンサーのこのタイミングでの仕掛けに対応できる馬はおらず、3、4コーナー中間で先頭のダイシンインディーをとらえたあたりで、3番手以下は離された。

 2000mを超える長距離戦で、残り半マイルほどのところから長く脚を使う、これこそがマスターフェンサーの強さ。長い直線で瞬発力勝負になることが多い大井2000mのGI/JpnIや、道中ペースがほとんど緩むことがないチャンピオンズCで勝負になる馬とはタイプが違う。それゆえ、次走の予定は川崎記念とのこと。

 川崎記念は東京大賞典より100m長いだけだが、そのコース形態から小回りの長距離適性が問われる。それゆえ名古屋グランプリとの関連が強く、過去にはヴァーミリアン、フィールドルージュが名古屋グランプリを制した直後に川崎記念を制し、チュウワウィザードも1年置いて両レースを制した。順序は逆だがリージェントブラフも両レースを制している。またGI/JpnI勝ちには至らなかったものの、名古屋グランプリの勝ち馬ではエーシンモアオバーやシビルウォーもこのタイプで、マーキュリーC、白山大賞典などで強い勝ち方を見せていたのが、マスターフェンサーとの共通項だ。

 ちょっと話は逸れるが、地方の小回り長距離戦と、中央のフェブラリーSやチャンピオンズCと、両方をこなせるオールマイティなタイプも当然いて、それがヴァーミリアンやホッコータルマエ。すなわちダートのチャンピオン級ということになる。そういう意味では、3歳時にこのレースを勝ち、浦和2000mのJBCクラシック、川崎記念を勝って、先日のチャンピオンズCを制したチュウワウィザードは、今後もさまざまな舞台での活躍が期待できる。

 2着は直線だけ脚を使ったロードゴラッソが2馬身差。とはいえマスターフェンサーの川田騎手はゴール前で手綱を緩めていたので、実際にはもっと差がついたはず。白山大賞典でも同じようにマスターフェンサーのうしろからの追走で、4コーナーから直線だけ脚を使ってクビ+2馬身差で3着だった。ゆったり流れてのロングスパートでは分が悪い。

 ダイシンインディーは、長距離で人気薄の逃げ馬が粘ったという3着。名古屋グランプリの過去の勝ちタイムを見ると、ときに2分40秒台での決着があるなかで、2分44秒8という今回の勝ちタイムは、流れがスローだったことがわかる。

 4着サウンドトゥルー、5着ミツバは、それぞれ10歳、8歳という年齢で、ともにGI/JpnI勝ちゆえ別定2kg増の58kgということでは、持てる能力は発揮した。

 サクラアリュールはマスターフェンサーが向正面で動いたタイミングで追いかけたが、4コーナー手前で一杯。馬体重プラス13kgで480kg。2018-19年にかけての冬にも480kg台で結果が出ない時期があったので、状態一息だったと思われる。

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