グランプリレースと呼ばれる有馬記念と宝塚記念は、レースの“質”が似ている。「2度の急坂が待っている」、「最後の直線が短いためコーナーからの加速が必要」、「施行時期が梅雨の阪神、師走の中山のため芝コースが荒れている」という3つの要因が重なり、どちらも毎年タフで厳しいレースになることが多い。では、この2つのレースの過去10年の結果から相関関係を見ていきたい。
過去10年間の宝塚記念で、3着以内に入った馬の有馬記念成績は[1-3-3-11]で複勝率は39%だ。つまり、宝塚記念で馬券に絡んだ馬が有馬記念に出走した場合、おおよそ3頭に1頭は有馬記念でも馬券に絡む。過去10年間、安田記念で3着以内に入った馬のマイルCSにおける成績が[3-2-1-11]で複勝率は35%だから、有馬記念と宝塚記念のほうが相関関係があるといえるだろう。
2019年は牝馬リスグラシューが宝塚記念を3馬身差で快勝し、有馬記念ではさらに着差を広げて5馬身差で圧勝したのは記憶に新しいところだ。今年の宝塚記念をレース史上最大、6馬身差で圧勝した牝馬クロノジェネシスにもグランプリ連覇が期待される。
ただし、過去10年間で同年の宝塚記念&有馬記念を連覇した馬は、昨年のリスグラシューのみ。10年以上遡ればグレード制導入以降では、ほかに6頭いる。2009年ドリームジャーニー、2006年ディープインパクト、2000年テイエムオペラオー、1999年グラスワンダー、1992年メジロパーマー、1989年イナリワンだ。ひと昔前と比べると、同年のグランプリ連覇に対するハードルは上がっているといえるのではないだろうか。
近10年で連覇の壁に跳ね返された馬は2018年ミッキーロケット、2017年サトノクラウン、2016年マリアライト、2015年ラブリーデイ、2014、2013年ゴールドシップ、2011年アーネストリー(その他の年は宝塚記念優勝馬が有馬記念未出走)。
近年の両グランプリの関連性、そしてこの壁の厚さを考慮すると、クロノジェネシスはデータ的には1着固定というより、むしろ連軸向きともいえる。また、宝塚記念2着のキセキと同3着のモズベッロは人気がなくても、複勝率39%の宝塚記念好走組ということは頭の片隅にとどめておきたい。
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