めずらしい古馬牝馬、2000m重賞という設定のマーメイドステークス。牝馬限定の重賞は3歳クラシックがフローラSからオークス、秋華賞と(その後に続くエリザベス女王杯も含めて)2000m以上を基本路線としているようなのですが、古馬になると2000m以上の牝馬限定戦はエリザベス女王杯(11月)と愛知杯(1月)、そしてこのマーメイドSの3レースしか設定されていません。しかも愛知杯とマーメイドS、つまり3レース中2レースはハンデ戦という状態です。
つまりは滅多にない距離でのハンデ戦ということで、重賞戦線の本筋からは完全に外れているマーメイドSなのですが、だからこそとも言える傾向が色濃く出ています。それは単純に、軽量の馬が有利ということ。通常はたとえハンデ戦であってもトータルでは斤量の重い馬の成績が良くなるものなのですが、このマーメイドSに関してはそれが完全に逆。ハンデ戦になってからの過去16年で、53kg以下の馬が13勝で、54kg以上の馬は3勝だけという内訳になっているのです。
■マーメイドS、斤量別成績
53kg下147戦【13-11- 9-114】勝率9% 単回収181% 複回収128%
54kg上 83戦【 3- 5- 7- 68】勝率4% 単回収 28% 複回収 52%
合計 230戦【16-16-16-182】勝率7% 単回収126% 複回収101%
※ハンデ戦になった2006年以降
■マーメイドS、53kg以下での勝利例
2006年ソリッドプラチナム 9番人気1着
2007年ディアチャンス 2番人気1着
2008年トーホウシャイン 12番人気1着
2009年コスモプラチナ 9番人気1着
2010年ブライティアパルス 3番人気1着
2012年グルヴェイグ 1番人気1着
2014年ディアデラマドレ 1番人気1着
2015年シャトーブランシュ 8番人気1着
2016年リラヴァティ 6番人気1着
2018年アンドリエッテ 10番人気1着
2019年サラス 7番人気1着
2020年サマーセント 7番人気1着
2021年シャムロックヒル 10番人気1着
マーメイドSは過去16年、全頭の単勝、複勝を買っていればそれだけで回収率が100%を超えてくるという稀有な重賞なのですが(つまりは荒れるということ)、そういった中でもハンデ53kg以下と54kg以上、どちらのグループを買うほうが割が良いのか、これはもう明白でしょう。
出走数自体は53kg以下のほうが多いのですが、主に人気を集めることになのは54kg以上の馬。その傾向は今年も踏襲され、おそらく54kg以上の馬が人気上位を占めることになるのでしょう。しかし多少の実績を持っているとしても、それらは長距離得意も牡馬相手には分が悪いなど、牝馬限定重賞の本筋からは外れてしまった馬たちです。
すなわち、今年のマーメイドSはリアアメリア(ハンデ55.5kg)、ルビーカサブランカ(同55kg)、マリアエレーナ(同55kg)、クラヴェル(同55kg)、ソフトフルート(同54kg)、ウインマイティー(同54kg)といった辺りを軽視するところから入ってみたいと考えています。
ウマい馬券では、ここから更に踏み込んでマーメイドSを解析していきます。印ではなく『着眼点の提案』と『面倒な集計の代行』を職責と掲げる、岡村信将の最終結論にぜひご注目ください。
(文・岡村信将)