当欄の冒頭を書く時には、必ず過去の同時期新馬を見直しているが、昨年の4回阪神開催に出走した新馬の面々を見ていると「へぇ〜」と思うところが多い。まず、芝2000mの新馬戦を勝ったのが、マテンロウレオ(栗東・昆貢厩舎)。3歳になって、きさらぎ賞を勝ち、皐月賞にも日本ダービーにも出走している。
芝1400mの新馬戦を勝ったセイウンハーデス(栗東・橋口慎介厩舎)はデビュー戦から倍以上の距離となる菊花賞へ出走。芝1600mの新馬戦で4着だったヴァレーデラルナ(栗東・藤原英昭厩舎)は2戦目以降はダートに転じて4勝、JBCレディスクラシック(11月3日・盛岡ダート1800m)への出走を予定している。
【10月29日(土) 阪神芝2000m】
◆ジャスティンレオン(牡、父ハーツクライ、母ダイワパッション、栗東・杉山晴紀厩舎)
母は現役時代にフェアリーS(中山芝1200m)、フィリーズRを勝ち、重賞2勝。半兄には皐月賞を勝ち、日本ダービーでも2着したエポカドーロ(父オルフェーヴル)がいる。本馬は2020年にセレクトセール当歳にて、7200万円で落札されている。
10月20日のCWでは古馬2勝クラスを追走して先着する内容。6F82.2秒はさほど強調するほどの時計ではないが、3F36.6秒、1F11.3秒は非常に速い。追い切り本数自体は決して多くないが、先週の追い切りの内容に、血統的な背景を考慮すれば、ここで人気の中心となることは間違いない。鞍上はC.デムーロ騎手が予定されている。
【10月30日(日) 阪神芝1200m】
◆ジーゲルマン(牝、父ノヴェリスト、母ジーニアスドール、栗東・松下武士厩舎)
おばにフローラS、ローズSを勝ち、2013年ジャパンCではジェンティルドンナの2着というGI実績もあるデニムアンドルビー(父ディープインパクト)。母系にはトゥザヴィクトリー(父サンデーサイレンス)やトゥザグローリー(父キングカメハメハ)といった馬名が出てくる良血でもある。
そんな血統的背景はあるものの、本馬は少し小柄。「(先々週取材の)現時点で380キロくらい。サイズはかなり小さいですが、その分、ゲートは速いですし、仕上がり早なのは間違いないでしょうね」と松下武士調教師。10月19日の坂路では時計を要してしまったが、実戦のスピードが出る芝なら変わってくるか。
【10月30日(日) 阪神芝1800m】
◆レジェンドシップ(牡、父ゴールドシップ、母タニノハイクレア、栗東・奥村豊厩舎)
半姉に芝で5勝を挙げたウインシャトレーヌ(父ダイワメジャー)。おじには2003年NHKマイルCでGIを制したウインクリューガー(父タイキシャトル)がいる血統。本馬は2021年セレクトセール当歳にて、3500万円で落札されている。
10月6日にはアルジャンナ、10月13日にはピースオブエイトといった年上のオープン馬相手にCWで併せ馬を消化。奥村豊厩舎らしい仕上げで、速い時計は出していないが、追うごとに確実に良くなっている印象。10月19日のCWでは古馬1勝クラスを追走して、きっちり先着しており、今週の追い切りでもどのくらい動くか注目してみたい。
【10月30日(日) 新潟芝1400m】
◆スカイロケット(牡、父ジャスタウェイ、母ティッカーテープ、栗東・須貝尚介厩舎)
半姉カナテープは2019年セレクトセール当歳にて、8400万円で落札されたロードカナロア産駒。東京芝1800mの新馬戦を勝った後、半年以上の休養を経て、復帰戦こそ8着だったが、先週の東京芝1800mできっちり勝ち上がり、3戦2勝としている。
本馬は7月22日にゲート試験を合格し、ノーザンFしがらきで調整した後、9月28日に栗東へ再入厩。10月19日のCWでは新馬と併せて大きく先着、6F80.3秒と好時計をマークした。坂路でも速い時計が出ており、この距離は合いそうだし、いかにも初戦向きという印象はある。鞍上は西村淳也騎手が予定されている。
(取材・文:井内利彰)