実戦が楽しみなセッション(10月26日撮影:井内利彰)
今週から阪神は5回開催がスタートし、今年の開催も残すところ2ヶ月。4回開催ではほとんどの新馬戦で落ち着いた頭数になっていたが、昨年11月の新馬戦の頭数傾向をあらためて調べてみた。
昨年の5回阪神の初週は新馬戦が5レース組まれていたが、最大で12頭。最少は芝2000mで7頭だった。しかし、今年の芝2000mはそれよりも多い頭数で行われそうだし、昨年は組まれていなかった牝馬限定戦がある。今年の4回阪神は牝限だけは除外が出ており、5回阪神でもそれに近いだけの頭数が集まる可能性はある。
【11月6日(日) 阪神芝2000m】
◆セッション(牡、父シルバーステート、母ミスドバウィ、栗東・斉藤崇史厩舎)
母は現役時代に芝短距離で活躍。1400m以下の距離で4勝を挙げており、その初仔であるソウテン(父ロードカナロア)も芝1400m以下の距離で3勝。現在3歳で3勝クラスに在籍しており、今後も短い距離で活躍していくだろう。
ただ、本馬に関しては、父がシルバーステートに替わったこともあってか、マイルでも短いであろう、ゆったりした走り。それでいて、10月19日のCWでは古馬OPのラウダシオンを追走して、それに食い下がるような動きを見せて、5F65.7秒と速い時計をマークした。1週前追い切りはレースでも騎乗予定の松山弘平騎手が跨って、3頭併せだったが、ラスト1F標識手前までは1馬身ちょっと遅れた状態。追いつくのかな、と思った瞬間に内から2頭を抜き去っており、ゴールでは先着。追い切りはやるたびに良くなっており、実戦が楽しみ。
◆ノーブルクライ(牡、父ハーツクライ、母ノーブルジュエリー、栗東・友道康夫厩舎)
半姉に同厩舎で管理されたディープインパクト産駒のノーブルカリナン、レイオブウォーターがいる。本馬は2021年セレクトセール1歳にて、6000万円で落札されたハーツクライ産駒。
10月19日のCWでの追い切りは新馬3頭での併せ馬ということもあり、前半からすごくゆったりしたペースで走って、一番後ろから追いかけたが、ゴールではきっちり追いつく動き。フットワークの大きな走りなので、リズムよく走ることができたなあという程度の印象だったが、映像で確認した10月27日のCWでの動きが素晴らしい。レースでも騎乗予定の福永祐一騎手が跨っての3頭併せ。
その真ん中に位置して、内からアルゼンチン共和国杯の出走を予定しているヒートオンビートが追いかけてきたが、並ばせることなく、手応えよく先着フィニッシュ。ラスト1Fは11.5秒の伸びを見せた。これなら初戦から、という感じがするし、最終追い切りの動きにも注目したい。
【11月6日(日) 阪神芝1600m(牝)】
◆レガリア(牝、父リオンディーズ、母グラニーズチップス、栗東・田中克典厩舎)
おじに2014年富士Sを勝ち、2015年天皇賞秋で2着などのGI実績を残したステファノス(父ディープインパクト)がいる血統。ちなみにリオンディーズ産駒の牝馬には、今年の福島牝馬Sを勝ったアナザーリリックなどがいる。
本馬は9月23日にゲート試験を合格し、栗東に在厩したまま調整。その翌週から週中にCWでの追い切りを毎週課しており、時計こそ目立たないものの、たっぷりと時間をかけて、丁寧な負荷をかけているといった印象。
個人的にはリオンディーズ牝馬は前向きすぎる気性の馬が多いので、こういったゆったりした調整がレースで良い結果を生むような気がする。なお、鞍上は北村友一騎手が予定されている。
◆ベルシャンブル(牝、父キズナ、母シャンブルドット、栗東・中内田充正厩舎)
母系に先週のカシオペアSを勝って、オープン特別で3勝を挙げているアドマイヤビルゴ(父ディープインパクト)がいる血統。
本馬は7月28日にノーザンFしがらきから栗東へ入厩して、8月4日にゲート試験を合格。その後、一旦牧場へ戻って調整し、10月7日に栗東へ再入厩。先々週までは坂路での追い切りを中心に消化して、先週がCWでの併せ馬。レースでも騎乗予定の藤岡佑介騎手が跨って、ラスト1Fが11.3秒。初めてのCW追い切りだったことを考えれば、よく動いている。
(取材・文:井内利彰)