◆有馬記念追い切り(21日、美浦トレセン)
有馬記念ファン投票3位・
イクイノックス担当の坂本達洋記者は、その迫力満点の動きに太鼓判だ。
思わず首がのけぞるほどの迫力だった。今か今かと朝一番の調教スタンドで
イクイノックスに熱視線を送っていたところ、3頭併せの真ん中からグンと勢い良く加速して、顔の大きな白い流星が迫ってくるように見えたのだ。その後の記者会見で木村調教師が「(気持ちが)高まりますね。名だたる名馬が集まっていて、そこに加わらせていただいてありがたい」と語った意気込み同様、人馬のボルテージはMAXだ。
もちろん動きは抜群だ。美浦・Wコースでの3頭併せの真ん中で、約2馬身間隔の隊列でスタート。5ハロン67秒2―11秒4の馬なりで、楽に最先着とダイナ
ミックな脚さばきに映った。指揮官が「予定通りうまくいった感じでした。道中は力むことなく、馬の後ろで
リラックスして我慢できて、
ゴーサインにしっかり反応して、能動的に動いてくれるかという狙いが根底にあった」と、合格点を与えるのは納得だ。
前走の天皇賞・秋で上がり最速32秒7をマークした豪脚は、確かに直線の広くて長い東京向きかもしれない。だが、木村師は「(皐月賞の)着順は残念ですけど、勝った馬が素晴らしい馬なので致し方なかった」と、同厩舎の
ジオグリフを引き合いに少し笑いを誘いつつ、「中山で
イクイノックスが持っているものがそがれたとか、出し切れなかったとは思わない」と言い切った。
現状に満足しないストイックなイメージの強い木村師だが、この日の会見では
イクイノックスへの信頼感が伝わってきた。デビューから全5戦完全連対で、大外枠に泣いた皐月賞、日本ダービーでも2着に頑張った実力からすれば当然か。重い印を打つにふさわしい一頭だ。(坂本 達洋)