◆第39回ホープフルS・G1(12月28日、中山競馬場・芝2000メートル)
第39回ホープフルSは28日、中山競馬場で行われ、14番人気の
ドゥラエレーデが先行2頭の激戦を鼻差で制し、大金星のG1初勝利を挙げた。2、3着にも7番人気、6番人気馬が続き、3連単246万円超の大波乱。短期免許による来日1年目のバウルジャン・ムルザバエフ騎手(30)=
カザフスタン=は、JRA重賞初勝利でG1制覇の快挙となった。
どっちだ―。2番手から襲いかかった
ドゥラエレーデと、逃げた
トップナイフの大接戦。ゴール後もなかなか勝者が分からず、ウイニングランも行われなかった。検量室前に引き揚げてきたムルザバエフに厩舎関係者が「勝ったよ」とささやきかける。短期免許参戦の開催5日目にしてJRA・G1初タイトルをつかんだ
カザフスタンの名手は、「ワオッ」と声を上げて喜びを爆発させた。
14番人気の愛馬、そして池添学調教師にも初の
ビッグタイトルをプレゼント。3連単246万6010円の大波乱で、名刺代わりとなるひと足早いお年玉もファンに届けた。「すごくうれしいが、もう1、2時間ほしい。信じられない気持ちだから。検量室でルメールに『僕は3年かかったけど君は2週間で勝った』と言われ、すごいことをやったんだと思った」と興奮を隠せなかった。
主戦場のドイツで19年から4年連続リーディング騎手に輝く名手の腕がさえた。ハナに行った
トップナイフを射程圏に入れながら追走し、直線は激しいアクションで愛馬をしった激励。外からじりじりと迫り、最後は首の上げ下げで鼻差だけ前に出た。「プランは2つあったが、逃げ馬がいたのでその直後につけるプランに。追うごとに力強さを感じていたし、坂を上がったところでまだ力が残っていた」と、作戦通りのレースに納得の表情だった。
G1昇格後5年の勝ち馬から
コントレイル、
サートゥルナーリアを輩出してきたレースを制し、伏兵から一躍、来春クラシックの主役候補に浮上。来年3月まで短期免許を延長予定の鞍上は「来年のダービーは」と聞かれ「距離は延びてもいい。乗れるなら挑戦したい」と再来日にも意欲を見せた。阪神JFを制した
リバティアイランドに続き、牡馬クラシック戦線でも期待が膨らむ
ドゥラメンテ産駒。「最高の後継者」を意味する馬名の通り、頂点を極めた父の背中を追う。(松末 守司)
◆バウルジャン・ムルザバエフ 1992年9月17日、
カザフスタン生まれの30歳。07年に
カザフスタンで見習い騎手免許を取得し、16年にドイツで騎手免許を取得。19年から4年連続でドイツリーディングに輝く。今年7月の独ダービー・G1を
サンマルコで制すると、11月にも
テュネスでバイエルン大賞・G1を制した。直後の
ジャパンCには、その
テュネスで出走して9着だった。169センチ、54キロ。
◆
ドゥラエレーデ 父
ドゥラメンテ、母マルケッサ(父
オルフェーヴル)。栗東・池添学厩舎所属の牡2歳。北海道安平町・ノーザン
ファームの生産。通算5戦2勝。総獲得賞金は8497万4000円。重賞初勝利。馬主は(株)スリーエイチレーシング。