11月、東京競馬場での未勝利戦で勝ち上がったイコノスタシス(撮影:下野雄規)
72年の英国ダービーを制したロベルトを祖とする父系は「ロベルト系」と呼ばれ、日本競馬にも大きな影響を与えてきた。古くはリアルシャダイやブライアンズタイム、近年はエピファネイアとモーリスがトップサイアーの地位を確固たるものとしている。
しかしながら、意外なことに父母ともにロベルト系の馬からは、未だにJRAの重賞勝ち馬が出ていない。延べ15頭が出走して、最高着順は20年フィリーズレビューのナイントゥファイブ、20年アルテミスSのテンハッピーローズ、21年アルゼンチン共和国杯のフライライクバードの3着。実はオープン特別の勝ち馬すらいないというのは、ちょっとした驚きではないだろうか。
フェアリーS(3歳・中山・芝1600m)に参戦するイコノスタシス(牝3・美浦・古賀慎明厩舎)は父がモーリス、母の父がシンボリクリスエスだから、ロベルト系の名種牡馬を重ねた配合だ。母系も優秀で、曾祖母はシンコウラブリイなどの活躍馬を輩出した名繁殖牝馬ハッピートレイルズ。母のきょうだいにコディーノやチェッキーノ、さらに半姉には昨年のフィリーズレビューを制したサブライムアンセムがいるように、長きに渡って活気のある一族だ。
イコノスタシスもさすがは良血と思わせるポテンシャルを秘めている。勝ち上がりに4戦を要したが、待望の初勝利となった前走の内容はまさにワンサイド。一戦ごとにグングンと力を付けているので、牝馬同士なら重賞でも通用していい。血のジンクスを打ち破る、エポックメーキングな勝利を期待したい。