接戦をモノにしたステラリア(中央)=撮影・三好信也
「福島牝馬S・G3」(22日、福島)
約1年の長期ブランクをものともせず、5歳牝馬が劇的な復活Vを遂げた。8番人気の
ステラリアが3頭横並びの大激戦を制し、初の重賞タイトルをつかみ取った。実戦こそ20年6月の新馬戦以来、12戦ぶりのコンビだったが、これまで何度も調教をつけてきた団野は「脚元に不安がある時もあったけど、ここまで来てくれて本当に立派な馬です」と自厩舎の孝行娘に最敬礼だ。
勝負の分かれ目は直線入り口の進路取り。「きょうは内が伸びていなかったので、外に出そうと思っていた」。中団追走から4角でスムーズに外へ持ち出すと、鞍上の鼓舞に応えて伸びる。仕掛けのタイミングは絶妙だったが、ゴール前は接戦に。「“何とかしのいでくれ”と思って追っていた。よく頑張ってくれました」と相棒の勝負根性をたたえた。
今年の高松宮記念で待望のG1制覇を飾るなど、デビュー5年目にして最大の上昇気流に乗った鞍上は、「ここまでたくさんの方に支えてもらってきました。これから恩返ししていかないと。勢いだけでなく、今以上に頑張っていきたい」と気を引き締めた。
ヴィクトリアM(5月14日・東京)の優先出走権を獲得。ただ、脚部不安明けとあって、斉藤崇師は「状態を見てから決めたい」と明言を避けた。それでも今だけは重賞初Vの喜びに浸ってもいいだろう。みちのくの地で輝いた人馬を祝福するかのように、さわやかな春風が舞っていた。