「
ブリーズアップセールは、その年の競走馬市場の指標になる」
その後の1歳市場に向けて、馬主の方々の購買意欲を探る上で、関係者の中でよく使われる言葉だ。少し景気が心配されている昨今、右肩上がりの状況が今後も続くのかどうか…。その辺りを気にする生産者や育成者は少なくない。その中で、
ブリーズアップセールは、欠場馬が4頭と少なく、12年ぶりの最多タイとなる79頭が上場された。
売却総額は7億5410万円(金額は税別)で、05年から始まった
ブリーズアップセールで歴代3位を記録。平均価格は966万7948円と、昨年より45万円弱とわずかに減少したが、最高価格が12年ぶりに2700万円と3000万円を下回ったことも要因に挙げられる。上場頭数が増えれば、馬主は候補に入れている馬の数も広げつつ、上限を決めた上でセリの様子を見る。そのことを考慮すれば、平均価格が下がるのも合点がいく。
宮崎育成牧場で育成された組は、1番時計をマークした
スルージエアー2021(牡、父
マインドユアビスケッツ)が最高価格タイとなる2700万円で、大八木信行氏が落札した。4日に行われた育成馬展示会で1番時計をマークし、今回のセールでも評判になっていたが、セリ前日の騎乗供覧で2F22秒3−1F10秒7と、こちらでも
ファステストを記録した。本格的な育成に入る前の段階で、昼夜放牧の時に色んな相手と組む形で放牧され、馬同士のコミュニケーションを大切にした。育成が進んだ時でも、併せ馬で若さを見せることなく、順調に本番を迎えることができたことが、高い評価を受ける馬たちが多かった印象を受ける。
日高育成牧場は、昨年の育成馬から
リバーラがファンタジーSを逃げ切った。その方針を軸に、集団調教をさらに重視した。横3列で縦長の調教を行い、レースに近い隊列で我慢を利かせることが、11日に行われた育成馬展示会できっちりとした併せ馬につながった。単走でもしっかり走る馬が多く、手応えを感じながら
ブリーズアップに臨んでいた。
セール終了後も「競走馬に向かう上で、この後が大切」と、JRA関係者は口をそろえる。
リバーラに続くような活躍を期待しつつ、今後のトレーニングセールにも動向にも注視していきたい。(競馬ライター)